アイシンは劇的勝利で初の決勝進出 残り2秒でトヨタ自動車下す 皇后杯全日本選手権/バスケ
バスケットボール女子の皇后杯全日本選手権は14日、東京・代々木第二体育館で準決勝を行い、第2試合ではアイシンがトヨタ自動車に58-56で勝利。最終盤での劇的な勝ち越しで初の決勝進出を果たした。 劇的な決勝点は残り2秒で決まった。プレー再開でアイシンは吉田亜沙美がスローインをゴール下の渡嘉敷来夢に出す。渡嘉敷が放ったシュートはゴールにはね返されたが、リバウンドを取った渡嘉敷がセカンドチャンスを決めた。大喜びするアイシンの選手たち。最後のチャンスにかけたトヨタ自動車はタイムアウトで作戦を検討してプレー再開に臨んだが、2秒間で追いつくことはできなかった。 「投げれば取ってくれるというのは分かっていたんで」と吉田。かつてENEOSで黄金時代を築いたベテランのコンビが生きていた。今季アイシンに移籍した渡嘉敷は「自分を信じてパスを出し続けてくれるところとか、やっぱり変わってないなって思います」と吉田との信頼関係を話す。 吉田のパスは少しずれていて、後ろからブロックに来た選手がいたこともあって1本目を外したが「(リバウンドを)取って決めれば誰も文句言わないだろうと思って。ここは外したら、自分がアイシンに来た意味ってなんだったんだろうっていうところだったんで、本当に決め切れてよかった」と振り返った。 劇的幕切れをお膳立てした好判断があった。序盤からの接戦は第4クオーター残り1分38秒、トヨタ自動車・田中平和の3点シュートで54-56と逆転された。その後、渡嘉敷のシュートで56-56として迎えた残り4.2秒。ゴール下の競り合いでボールがコート外に出た際、審判はトヨタ自動車ボールと判断した。 だがアイシンは、監督がビデオ判定を要求できる、試合中に1度だけ使えるカード(ヘッドコーチチャレンジ)を切った。ボールが出る直前、トヨタ自動車の平下愛佳と競り合っていた近藤京が梅崎英毅監督に進言したのだ。ビデオの確認の結果、判定は変わってアイシンボールに。それが吉田から渡嘉敷へのパスにつながった。 「相手(平下)が触っていたって確信がありました」と近藤。好判断をみせた21歳は「すごく自信になります」とほほ笑んだ。