実りすぐソバ 秋色に衣替え
福岡県苅田町の「等覚寺の棚田」でソバの花が見頃を迎え、標高300メートルの中山間地域に白いしま模様が幻想的に浮き上がった。棚田は山肌に張り付くように、すり鉢状に広がっている。 総耕作面積は約1ヘクタールで、急勾配のため大型の機械は入れず、移動するだけでも重労働だ。高齢化で担い手不足が進み、休耕田が増加。農水省の「農村景観百選」にも選ばれた古里の風景を守ろうと、1994年からソバの栽培を始めた。 今年は、都市住民らでつくる地域おこし団体「等覚寺応援団」が30アールに手作業で種をまいた。ソバは、棚田に隣接する土曜日限定の「天空カフェ」で、「元祖山伏流そば」として提供する他、そば粉にしてクッキーやプリンなどの加工品にも活用する。 元地域おこし協力隊員で、天空カフェの店主を務める余村紫さん(42)は「標高の高さが生み出す寒暖差でソバの香りが強くなる」と話す。花の見頃は今月中旬まで。
日本農業新聞