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振り幅ある作品群の尽きぬ魅力に迫る『安野モヨコ展 ANNORMAL』

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クロワッサンオンライン

文・知井恵理

世田谷文学館~9月22日(火・祝)

“ふるえる程のしあわせ”を求めて恋愛に爆走するヒロインから和の暮らしを楽しむ愛らしいキャラクターまで、自在に鮮やかに描き分ける漫画家・安野モヨコさん。デビュー30周年を記念した本展は、約500点の作品原画から創作の軌跡をたどる。 「魔法少女が活躍する少女漫画『シュガシュガルーン』と仕事や働くことを主題にした『働きマン』。2つは、少女の空想世界と社会人の現実といった相反する世界観ですが、実は同時期に連載されていた作品です。そうした振り幅の大きさが安野作品の特徴のひとつといえるので、本展では『女―男』『夢―現』など、対になる言葉を組み合わせた5つの章構成で作品原画を展示しています」(世田谷文学館主任学芸員・庭山貴裕さん) 『ハッピー・マニア』や『さくらん』といった人気作品の原画も、線の勢いや筆の“ノリ”が伝わってきそうなほど間近で閲覧できる。また、これだけ原画が並ぶと、人物の細部の切り取り方や構図のアングルが実に映画的ということも見て取れ、会場では動画を見ているような躍動感、ライブ感も味わえる。さらに、体調不良による休筆期間中も描き続けていた『オチビサン』の制作風景や、この展覧会のために描いた自画像イラストも見どころのひとつ。 「『オチビサン』は、ポショワールというフランスの版画技法を独自にアレンジした技法で彩色されていて、手仕事や色彩へのこだわりが伝わってきます。また、着物の女性を描いた美人画や、大正・昭和の文学作品の挿絵などの一枚絵には、漫画の躍動感とは違った緻密な描線や装飾的な美しさがあります。絵師としての一面も堪能してください」 昨年からスタートした連載『後ハッピーマニア』を含め、安野作品のすべてに共通するのは“模倣ではない、本当の自分の欲望や幸せとは何か”という問い。格好悪くても散々もがきながらも、あきらめずに幸せを追求し続ける主人公の姿やその作品群に、励まされること間違いなし。

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