「誰と食事するかが重要、20時前でも感染する。政府は明確なメッセージを」コロナ対応に当たる医師
作家の乙武洋匡氏は「1都3県に緊急事態宣言が発出された際、劇場や映画館は対象になっていないことをもって、私も含め多くの人が“前回ほどじゃないんだな”というメッセージとして受け取ってしまったと思う。ここからトーンを強めたとしても、最初の印象は強く残ってしまうのではないか。また、僕たちに“外食を控えて”と呼びかける以上に、企業に“リモートワークを導入してよ”と強く指導することが大切ではないか。菅さんだって二階さんにご飯に誘われたら断れなかったわけだし、森山さん(自民党国対委員長)だって“政治家は飯を食わないわけにはいかないから”とか言っているわけだ。政治家でなくても、営業職の人たちの中には飯を食わないと始まらないという事情を抱えた人がいるはずだ。“出社するな”と会社が言ってくれない限り行ってしまうだろうし、“飯に行くな”と言ってくれない限り、上司や先輩に誘われて“今はまずいっすよ”と断ることはしづらいだろう」と指摘。
大王製紙元会長の井川意高氏は「飲食店にしわ寄せが行くこと、そして“8時まで”ということに本当に意味があるのだろうか。家族と食事に行くと、営業時間が8時までになったことでかえって密が生まれていることも多いと思う。それなら、感染防止対策を徹底してもらった上で営業時間を延ばした方がむしろ良いのではないかと思うくらいだ。また、このところ若い人に対する注意喚起をしているが、話を聞いてみると、“10代、20代は感染しても死なない。高齢者の社会保障に何十兆円ものお金が使われる一方、自分たちは奨学金という名の利子付き借金を背負わされて社会に出ていく。もちろん自分の家族は大切だが、世の中の高齢者のために自分たちの就職や学業が犠牲になるのは納得いかない”というような、ほとんど世代間闘争みたいな気持ち、復讐心みたいなものがあるように思う」との見方を示した。
こうした中、政府は入院を拒否した人に対する罰則などを盛り込んだ特別措置法改正案の検討を進めている。 しかし高山医師は、罰則には反対の立場だと話す。「いわば外部のリスク対して自分で内側から鍵をかけるのか、権力が“中に入りなさい”と言って外側から鍵をかけるのか、という民主主義に関わる問題だ。今まで私たちは自粛、つまり自らリスク管理をすることで乗り越えようとしてきたのに、外から鍵をかけられたから生き延びることができたとなれば、パンデミックが終わったあとの後味は全く違ってくると思う」。