張本美和16歳の表情が…団体決勝で“ある異変”「中国を五輪で初めて本気にさせた」それでも高い王者の壁…元代表監督が現地で見た“決定的な差”
現地時間8月10日。パリ五輪の卓球女子団体決勝戦で、日本チームは絶対王者・中国に0-3で敗れた。初戦のダブルスで早田ひな(24歳)と張本美和(16歳)の“ひなみわ”ペアを起用する秘策が的中し、中国ペアを追い詰めるも勝利には一歩及ばず。続くシングルスでも世界のトップ3に君臨する中国選手の壁は高く、2大会連続の銀メダルという結果で挑戦は幕を閉じた。 【最新写真】「えっ、決勝で張本美和16歳の表情が…」あの号泣の準決勝から一転…“最強の中国相手に楽しそう”にプレー。張本にアドバイスする“8つ上のお姉さん”早田ひな、平野美宇…試合中の食事シーンも。現地写真を一気に見る 見事なチームワークでエース早田のケガをカバーした選手たち。和気あいあいとした一体感はどのように生み出されたのか。そして“中国と日本の差”はどこにあるのか? ロンドン・リオ五輪で女子日本代表の監督を務め、今大会を現地パリで観戦した日本生命レッドエルフの村上恭和総監督に話を聞いた。
決勝でダブルス“驚きの起用”はなぜ
――中国との決勝でまず驚いたのは、早田選手と張本選手が今大会初めてダブルスを組んだ“ひなみわ”ペアの起用でした。現地でご覧になっていて、このオーダーをどう受け止めましたか? 村上恭和(以下、村上) 本気で勝ちにいく、という覚悟を感じる起用でした。おそらく中国からすれば、まったく想像していなかったオーダーです。これまで通りダブルスは早田・平野、2戦目のシングルスに張本だと考えていたでしょうから。1戦目のダブルス、そして2戦目の平野が序盤にポイントを取れたのは、そういった理由もあるでしょうね。 ――ずっとペアを組んできた選手同士のような、見事なコンビネーションでした。 村上 早田は2年以上も張本智和と(混合で)ペアを組んでいて、当然ダブルスの能力は上がっています。それに張本美和は兄とタイプが似ているので、早田にとってはやりやすかった。加えて中国の陳夢(チェン・ムン)と王曼昱(ワン・マンユ)がともに右利きなのに対し、左の早田・右の張本という日本のペアはいくらか有利です。ダブルスなら何回やっても五分五分の勝負ができると感じました。――第5ゲームで一時は9-5と、中国ペアをあと一歩まで追い詰めましたが……。 村上 リードしていた第5ゲーム終盤のサーブの選択が悔やまれます。王がバックに回ってくると読んだ張本のロングサーブを、フォア一発で返されてしまった。あそこでショートサーブを選んでいたらどうなっていたか。結果論になってしまいますが、作戦の綾としてそこだけが残念でした。 ――崖っぷちから勝利をもぎ取った中国ペアの喜び方も印象的でした。 村上 ダブルスと3番手のシングルスで起用された王曼昱は元世界王者(2021年の世界選手権女子シングルスで優勝)ですが、中国の選考レースでは王藝迪(ワン・イーディ)に次ぐ4番手でした。ただ、王藝迪が去年の世界選手権とアジア大会で早田に敗れたことで、今回は王曼昱が抜擢される形になった。「自分が選ばれたからには」という責任感があったんでしょうね。それにダブルスさえ勝てば、あとの2勝は孫穎莎(スン・イーシャ)が取ってくれる。そんな計算もあったのかもしれません。
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