神話の森で自然とアートを感じながら最上の「ととのい」体験を〈後篇〉自然の中で武雄焼の器と食事を堪能
選べる佐賀のお茶とスイーツで心踊るティータイムを過ごす
◆いろえ工房 次に向かったのは、有田焼の器に絵付けをしている「いろえ工房」。こちらも工房にギャラリーと喫茶室が併設されていて、窯主の妻である鷹巣由紀子さんとお嫁さんの麻由子さんの2人が出迎えてくれた。 白磁の器に色鮮やかに描かれた、植物や花、四季の自然、魚などがかわいらしい。 あまりに繊細で美しい絵柄なので女性が描いているのかと思ったら、描いているのは窯主の鷹巣陽さんだという。細い絵筆を使って、一つ一つ丁寧に描いている。 「若い女性が描いていますか? とよく聞かれますが、70歳過ぎの男性ですと答えると、みなさん驚かれますね」と麻由子さん。 20年以上前、「辻修窯」に遊びに来たときにこの景色に惚れ込んで、同じ町内から工房を移転したのだという。黒髪山エリアの工房はそれぞれ個性的なので、いろいろ回ってお気に入りを探すのがおすすめだという。 木の梁がむき出しになった店内はとても素敵な雰囲気で、器選びも楽しくできそう。 赤や青、黄色、緑、紫などの上絵具でお花や季節の植物が描かれた器は彩り鮮やかで、カップの持ち手やお皿の端っこにちょっと絵が描かれているだけでも、ぐっと上品さが増す。 窯主の鷹巣陽さんが下絵から絵付けまですべて1人で制作、由紀子さんは喫茶室の料理をし、麻由子さんは主に接客を担当する、家族で営む小さな工房である。 繊細で華やかな絵柄は有田焼の伝統的な技法を用いながらも、現代の暮らしにマッチする絵柄をモチーフにしていて、日々の暮らしにぬくもりを与えてくれる。 2023年5月に工房をリニューアルし、喫茶室を新設。「この器だと、こういうティータイムが楽しめる」というテーブルコーディネートの参考にもなる。 喫茶は、店内・屋外、どちらでも可能。屋外ではブルーグリーンの湖を望みながら、ゆっくりとティータイムを楽しめる。 「選べる佐賀のお茶とスイーツセット」(2時間、要予約)は、前菜盛りと発酵バターのクロワッサンのサンドイッチ、さらにスイーツは3種(2,700円)または6種(3,300円)から選べる。 スイーツの品揃えはその日によって変わるが、地元の人気店から届くチーズケーキやロールケーキ、どら焼きあんバターなどが陳列された中から好きなものを選ぶ。 お茶は嬉野の和紅茶、武雄のレモングラス紅茶、伊万里の自然栽培茶など佐賀県産のお茶からセレクト。さし湯までつけてくれるから、時間が過ぎるのも忘れてくつろいでしまう。 いろえ工房 所在地 佐賀県武雄市山内町宮野1829-8 電話番号 0954-45-2000 営業時間 10:00~16:30 定休日 月曜(喫茶室は月・日曜休み) 野添ちかこ(のぞえ・ちかこ) 温泉と宿のライター/旅行作家 「心まであったかくする旅」をテーマに日々奔走中。NIKKEIプラス1(日本経済新聞土曜日版)に「湯の心旅」、旅の手帖(交通新聞社)に「会いに行きたい温泉宿」を連載中。著書に『旅行ライターになろう! 』(青弓社)『千葉の湯めぐり』(幹書房)。岐阜県中部山岳国立公園活性化プロジェクト顧問、熊野古道女子部理事。
野添ちかこ