廃棄される果皮やカスが原料。“もったいない”から生まれた〈のこり染〉
1着あたりの「寿命を縮める」洋服づくりへの疑問
■国内生産から海外生産へ移行し、安価な洋服づくりは服の寿命を縮めている 現在、日本での衣類の製造は減少の一途をたどり、ほとんどが海外生産に移ってしまっていまるのが現状です。艶金も国内生産が減ったことで、メーカーから反物の染色の仕事がなくなり、一時、工場の倉庫はガラガラになってしまったこともあったそうです。 そうしたなか、海外で生産したストックを倉庫に預かるようになると、売れ残った商品も大量にストックされるようになりました。その結果、メーカーから、倉庫代を浮かせるため、洋服の廃棄を依頼されます。焼却される大量の服を目の当たりにして、このままでは地球環境はどんどん汚染されてしまうと、墨社長は感じたそうです。 「安価で大量の服をつくることで、1着あたりの寿命がどんどん短くなっていく。そういったファッション業界の流れに、疑問を感じるようになりました。この『もったいない事態』に気づいてもらうひとつの方法として、もったいないをコンセプトとした取り組みをしていこうと、食物残渣から染料を作ることにも繋がっていったんです」 大垣は〈水の都〉といわれるように、河川がたくさんあり、水源が豊富です。この地を生かして、少しずつでも環境にやさしいものづくりをしていくことを念頭に、敷地内ではオーガニックで野菜を育て、それを食堂で使用するなど、食物連鎖の循環にも目を向けています。企業と地域の人々が一体となって、環境への意識を高めていきながら、地域を活性化させていく。艶金の挑戦はまだまだ広がっていきそうです。 information 株式会社艶金 住所:岐阜県大垣市十六町字高畑1050 電話:0584-92-1821 Web:KURAKIN writer profile Naomi Kuroda 黒田 直美 くろだ・なおみ●愛知県生まれ。東京で長年、編集ライターの仕事をしていたが、親の介護を機に愛知県へUターン。現在は東海圏を中心とした伝統工芸や食文化など、地方ならではの取り組みを取材している。食べること、つくることが好きで、現在は陶芸にもはまっている。 【コロカルニュース】とは? 全国各地の時事ネタから面白情報まで。コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。