初打席でサヨナラ打…東海大菅生のラッキーボーイ 選抜高校野球
第93回選抜高校野球大会は第8日の27日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2回戦が行われ、東海大菅生(東京)が京都国際にサヨナラ勝ちし、準々決勝進出を決めた。九回に代打の多井耶雲(2年)が逆転の右翼線2点二塁打を放った。 【写真でプレーバック】京都国際―東海大菅生 代打で出たのに、2球で追い込まれた。「三振かなとちょっとだけ頭によぎった」と東海大菅生の若林監督。だが、多井は違った。「決める気持ちしかなかった」。1ボール後の4球目、外角球を振り抜くと、鋭い当たりの逆転2点二塁打が右翼線で弾んだ。「うれしくて頭が真っ白になった」。サヨナラと分かった後も、ダイヤモンドを1周駆け抜けるほど興奮していた。 九回、1点を返し、なお1点差の2死満塁。猛追に若林監督も代打の用意が遅れ、多井への助言も「バタバタして『気合で行け』としか言っていない」。代打起用は、多井の気の強さと土壇場でメンバー入りした「運」を買ったという。 多井は昨秋の公式戦で出場がなかった。しかし、練習試合では投手として好投し、打者としても安打を放ってアピール。今大会は別の選手にコンディション不良があり、直前のメンバー変更で背番号「18」をつかんだ。公式戦に出られなくても、当初メンバーから外れても、悔しさを糧に相手投手をイメージしながら徹底的に振り込んできたことが土壇場で生きた。 「公式戦初打席」でのサヨナラ打。東海大菅生は初戦も鈴木悠が公式戦初打席で大会第1号を放って勢いをつけた。「(チームメートが活躍して刺激は)かなり多い」と多井。切磋琢磨(せっさたくま)による層の厚さが、日替わりの「ラッキーボーイ」を生んでいる。【新井隆一】 ◇全31試合を動画中継 公式サイト「センバツLIVE!」では、大会期間中、全31試合を中継します(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2021)。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)でも展開します。