空手世界王者が“プラスサイズモデル”に…いったいなぜ? 植草歩32歳が語った“意外な理由”「体重やスリーサイズが出るのは恥ずかしいけど…」
東京五輪がなければ「教師になっていたと思う」
──植草選手はタイミング的に「一番いい時期」に現役生活を送ることができた空手選手のひとりだと思います。以前なら現役を続けたくても、大学卒業後に引退するパターンが大半だった。しかし2016年、東京五輪で空手が五輪競技に採用されることが決定し、一気に道が開けました。 植草 本当にラッキーでしたし、スポーツバブルに乗った感じはありました。小学校高学年のときの千葉県のジュニア強化で、私は(最高位の)ターゲットAだった。千葉国体があったのも高校3年生のとき。大学1年生になっていたら強化のターゲットにならないし、高2よりも高3の方が強いじゃないですか。オリンピックもそうですし、運の巡り合わせが良かったのかなと思いますね。 ──もしオリンピアンになっていなかったら、何をやっていたと思いますか。 植草 東京五輪がなかったら……。自分はインターハイで優勝できず、指導者として生徒をインターハイで優勝させたくて教員免許をとったので、教員の道を進んでいたと思います。いまも中高の保健体育の免許は持っています。 ──日体大柏高では教師をやりながら空手部の監督をやっているのですか? 植草 いえ、肩書は外部コーチです。その方がモデルやメディアの仕事にも臨機応変に対応できるので。もちろん生徒の大事な試合と他の仕事がバッティングしないようにしていますけど、この働き方がいまの自分のライフスタイルには合っていると思います。 ──言葉の端々から充実感が伝わってきます。 植草 今までは自分のための練習をしないことに罪悪感があって、「今日は生徒の指導ばかりで終わってしまった……」と悔やむこともあったけど、現役を引退して指導をメインで考えられるようになったことが精神的にプラスに作用していますね。「練習に行きたくない」とも思わなくなりました(笑)。
なぜプラスサイズモデルに挑戦したのか?
──では、もう自分のための練習はしていない? 植草 そうですね。ちょっと太らないように体を動かそう、くらいのレベルです。これ以上、太ったらマズいので(笑)。 ──階級制ゆえ現役のときは体重に敏感だったと思いますが、いまでも体重計には頻繁に乗るんでしょうか? 植草 乗らないです。もう乗りたくない。乗ったら「アアッ!」となっちゃう(笑)。食べる量も減らしているけど、体重は全然落ちないんですよ。 ──現役を引退されたアスリートに対して失礼を承知のうえで聞きますが、現在の体重はどのくらいでしょうか? 植草 モデルとしていま公に出ているのは85kgです。ただ、もうちょっと落としたい(笑)。 ──プラスサイズモデルの仕事ですが、世の中にはいろいろな体型の方がいる。そういう人たちを勇気づけるためにやっている側面もあるんでしょうか? 植草 きっかけは知人から「こういうモデルの仕事があるんだけど、引退したらやってみたら?」と薦められたことです。「植草さんがプラスサイズモデルをやったら絶対バズるから」と。 ──実際、『la farfa(ラ・ファーファ)』のモデルに起用されて大きな注目を集めることになりました。その知人は先見の明がありますね。 植草 空手選手としての活動が表に出ることは何ともないけど、自分の体重やスリーサイズが公開されることはやっぱり恥ずかしい。根はネガティブで恥ずかしがり屋なので、体重のことをイジられるのはイヤですし……。でも、だからこそ「いまに見ておけよ!」と。 ──覚悟を決めたわけですね。 植草 これで有名になったら、誰も私のことをバカにできない。そう思ってやっています。きっと世の中には競技を辞めてから太ってしまった人もいる。スポーツだけじゃなく、仕事のストレスや、出産後にそうなった人もいる。そういう人に「体が大きくても綺麗でいられる」という可能性を示したい。最初はオーディションがあったんですよ。当然、落ちる可能性もあったので緊張していました。 ──「あれっ、空手の植草さんじゃないですか!」とビックリされませんでした? 植草 はい(笑)。「なぜここに?」と驚かれたので、「太ってしまったので」と正直に答えました。でも、学生時代からそうだったんですよね。昔も決して痩せてはいない。小中学生のころも同級生の女の子と比べたら自分の方が大きかったですし、地元は田舎でお洒落な洋服もないから、ずっと制服かジャージを着ていました。 <続く>
(「オリンピックPRESS」布施鋼治 = 文)
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