「熊本に金メダル」パリへの宿題 車いすラグビー・島川と乗松、健闘たたえる 東京パラ
メダルの色は「金」ではなかったが、積み重ねた努力の結晶がコートに輝いた。29日、東京パラリンピック車いすラグビーの日本はオーストラリアを下して銅メダル。チームの攻守を支えた島川慎一(46)=バークレイズ証券、長洲町出身=と、乗松聖矢(31)=SMBC日興証券、熊本市=は表彰台で晴れやかな表情を浮かべた。 「東京で金メダルを取る」。チーム最年長で代表歴20年の島川は、悲願達成の一点に照準を合わせてきた。激しくぶつかり合う競技は、不惑を過ぎた体をきしませる。負担は大きいが、猛練習で「自分を徹底的に追い込んだ」。持ち味のスピードと運動量をさらに進化させた。 乗松もコロナ禍にあって、熊本市内で黙々と個人練習に打ち込んだ。その証しが、すり減った車いすのタイヤだ。代表チームメカニックの三山慧さん(35)は「代表合宿に来る度に、走り込んできたのが分かった」と執念を感じ取っていた。 最終戦を終え、汗だくの二人は健闘をたたえ合った。「熊本の家族に金メダルを持って帰る約束を果たせなかった」(乗松)と天を仰いだが、その雄姿を見守ってきた古里は温かさで満ちた。 乗松の荒尾市の実家では、両親の康浩さん(61)と尚美さん(61)がテレビ観戦。1次リーグに続いて強豪を下した息子らを称賛した。尚美さんは目に涙を浮かべ、「(準決勝に敗れ)よくここまで気持ちを立て直した。役目をやり遂げた聖矢をほめたい」。島川の出身地、長洲町の中逸博光町長(67)も「町民に夢や希望を与えてくれた。子どもたちに経験を伝えてほしい」と郷土のヒーローをたたえた。
自国開催の大舞台に懸けた戦いは一区切りを迎えた。しかし、二人は挑戦をやめない。「引退する気はさらさらない。自分に足りなかったものを探しに行く」と島川が言えば、乗松も「守備は良いところを出せたが、攻撃でミスもあった。パリに向けた宿題だ」。3年後に金メダルを胸に輝かせるため、まだまだ走り続ける。(野方信助、樋口琢郎)


