甲子園名物「かち割り氷」なし、ロージンは投手ごと…応援も選手もコロナ対策
真夏に銀傘の下に座る観戦者らはマスクを着用し、甲子園名物の「かち割り氷」も阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)内では売っていない。普段の夏の甲子園では見慣れない光景だった。試合の運営には新型コロナウイルスの感染予防に衛生管理などさまざまな対策が取られた。 【写真】大型ビジョンの集合写真で開会式に「参加」した出場校の選手 球場の入り口には手指の消毒液が設置され、入場者はサーモグラフィーで体温検査を受ける。通常なら売店が並ぶコンコースはシャッター通りのよう。一塁側と三塁側にそれぞれ1店のみオープンし、招待校のペナントなどグッズも球場内だけで販売した。 開会式に参加した大分商と花咲徳栄(埼玉)の選手らは間隔を確保しながら2列に交互になって整列。スタンドの部員や保護者はマスク着用で2席空けて座り、拍手と手拍子による控えめな応援となった。試合前やイニング間には大型ビジョンに手洗いや手指消毒のほか、万が一、感染者が出た場合に備え、入場券の裏面に名前と座席番号を記入して退場時に回収箱に入れるよう呼びかけられた。 試合では日ごろの習慣との違いに戸惑う様子も。衛生管理のため投手ごとに決まったロージンバッグを使い、ベンチへ戻る度に持ち帰ることになっていたが、普段の通りマウンドに置いたままにし、別の選手が回収に走った。甲子園で何万人もの歓声を受けながら野球をすることはできなかったが、大分商の川瀬堅斗主将(3年)は「無観客でもマウンドに立った時の雰囲気に、やっぱり甲子園はすごいんだなと思った」と話した。【荻野公一、園部仁史】