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【震災追悼施設】全県民に見てもらおう(7月16日)

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福島民報

 双葉、浪江両町に国と県が整備する復興祈念公園の施設概要が公表された。隣接する県のアーカイブ施設「東日本大震災・原子力災害伝承館」と合わせ今年秋にも一部供用開始が予定されている。震災と東京電力福島第一原発事故の惨禍と、復興を伝える象徴的な施設群が姿を現す。浜通りにはこのほかにも産業関連を含め、さまざまな施設が誕生している。全ての県民が見学する仕組みをつくりたい。  震災と原発事故の記憶は徐々に薄れていく。体験していない若い世代も増えている。一方で福島第一原発の廃炉作業は続いている。避難区域から県内外への避難者は今なお約三万七千人に上る。県民は今後も厳しい現実と向かい合いながら暮らしていかざるを得ない。一人一人が被害の実態や復興の現状に理解を深め、正しい知識を身に付ければ、「語り部」となってもらえるだろう。  そのためには地域、職場、団体、学校などのグループごとに見学する機会を設けてはどうか。特に児童・生徒の教育旅行先に取り入れたい。感受性豊かな青少年期に訪問する意義は大きいはずだ。風化防止につながるだけでなく、自分や古里の将来を考えるきっかけにもなるに違いない。

 浜通りでは、いわき市の「いわき震災伝承みらい館」が五月、薄磯地区に開所した。津波を受けた浪江町の請戸小校舎は震災遺構として来年春にも一般公開される。ロボット研究開発拠点と期待される「福島ロボットテストフィールド」は今年三月、南相馬市と浪江町に全面開所したほか、廃炉技術の開発、先端技術を活用した農業実践、人材育成などが各地で進む。大きな爪痕を残しながら、多分野にわたり先進的な取り組みが同時進行する地域は国内で他に例を見ない。  県観光物産交流協会は伝承館や祈念公園の供用開始を機に、団体や教育旅行の浜通りへの受け入れを強化する方針だ。商標登録した「ホープツーリズム」の趣旨を踏まえた企画づくりを急いでいる。  とはいえ、新型コロナウイルス感染の先行きが見通せないだけに、海外はもちろん国内からの誘客は難しい。こんな時だからこそ、県民向けの企画を充実させてほしい。  実現させるためには県、市町村、教育委員会、企業、団体などの連携が欠かせない。施設の有効活用と全県民見学の在り方を協議する場を設けてもよい。政府には仕組みづくりや財政面への支援を望む。まず県内で人を動かし、浜通りの交流人口拡大を軌道に乗せよう。(鞍田 炎)

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