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神奈川県の感染対策取組書、登録業者5万件 お墨付き、是か非か

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カナロコ by 神奈川新聞

 新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、県が事業者に掲示を求めている「感染防止対策取組書」の登録件数が5万件を超えた。県民に注意を呼び掛ける県独自の「神奈川警戒アラート」発動以降、黒岩祐治知事は「掲示されていない店には行かないで」とアピールに躍起だ。事業者と消費者双方の予防意識向上に一定の効果を見せる一方、取組書を“金科玉条”とする県の姿勢に疑問の声も上がる。 【写真でチェック】JR横浜駅で駅員が一斉消毒 お盆シーズン、安心して利用を  取組書は、店舗や施設が業種ごとに定められたガイドラインに沿った対策を項目別に自らチェックし、一つでも当てはまると認定証のような文書を印刷できる。店頭や施設内に掲示することで感染対策を「見える化」する仕組みだ。  飲食店の場合は「大皿での料理提供は避ける」「レジなどの仕切り設置」、劇場・映画館の場合では「混雑時の入場制限」「チケット・飲食物購入時の間隔確保」といった項目が並ぶ。  県は5月26日に取組書の発行を開始し、登録件数は8月12日時点で5万230件。アラート発動前(7月17日午前0時時点)は2万5356件だったが、発動時に知事が掲示されていない店には行かないよう呼び掛けたことで登録件数が一気に倍増した。  業種別では「飲食店等」が最も多い1万6597件で、約3万店とされる県内の飲食店の半数を超えている状況だ。  小規模な居酒屋や焼き鳥店などが軒を連ねる横浜・野毛地区。「この紙を貼ってあるのを確認して店に入って来られるお客さんも結構いますよ」。通りに面した入り口ドアに取組書を掲示するバーで働く40代の男性店員は効果を実感する。  200を超える店が集まる横浜中華街(横浜市中区)。団体旅行を受け入れている中華料理店は、入り口付近に3枚の取組書を掲げる。約15年にわたり営業を続けるが、コロナ禍で売り上げは昨年の2割程度。男性オーナー(50)は「元々、感染対策をしているが、お客さんが安心してくれればと思って取組書を掲示している。でも、このおかげで客足が伸びたという気はしないね」と冷ややかだ。  掲示する店舗が広がる一方、県は取組書に明記した内容を実践しているか否か各店舗に確認しているわけではない。感染者が出た店などが掲示していたとしても、把握はできていないのが実情だ。  こうした中で知事の“踏み絵”を迫るようなメッセージや事業者任せの感染対策の実効性に違和感を覚える事業者は少なくない。  横浜中華街近くで居酒屋を営む男性オーナー(37)は取組書を貼っていない。登録方法がよく分からないためだ。それでも入店客数を半分にしたり、飛沫(ひまつ)防止用シートを設置したりして店独自の感染対策に余念がない。「(取組書の内容と)やっていることは一緒なのに、知事が『掲示していない店に行くな』と言うのは『貼っていない店はつぶれろ』と言っているのと同じではないか」と語気を強める。  黒岩知事は12日の定例会見で、「実感として、多くの店で(取組書を)よく見かけるようになってきた」と述べ、こう続けた。「それぞれの店が独自の対策をしているのは素晴らしい。だが、県が一様に取組書をやっていこうと言っているので、ぜひ協力してもらいたい」

神奈川新聞社

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