ジョニ―・デップと婚約破棄で地獄の底へ...万引きや逮捕で「仕事ゼロ」になったハリウッド女優が過酷な90年代を振り返る
ウィノナ・ライダーが1989年にジョニー・デップと付き合いだした頃、ふたりの姿はまるでダークなおとぎばなしの主人公が現実世界に舞い降りたかのようだった。不機嫌、でも圧倒的に美しい若いふたりは、古いタイプの優雅なハリウッドの映画スターたちのなかに忽然と現れ、レッドカーペット上で異彩を放っていた。 【写真】語り継がれる美男美女カップル...90年代のジョニー・デップ&ウィノナ・ライダーの2ショット集 付き合いだしてから5カ月後に婚約したふたりは、4年後に破局した。デップは当初「Winona forever(ウィノナよ、永遠に)」というタトゥーを彫っていたが、別れた後に「Wino forever(アル中よ、永遠に)」とロマンティックからほど遠い意味にそれを修正した。この世代特有の高飛車な態度が反映されているかのように。 それ以来、ライダーは私生活をほぼ隠すようになった。だが、90年代前半のハリウッド文化の残忍さは、人々が知る以上に彼女に深刻な影響を与えたと、彼女はほのめかした。「『17歳のカルテ』(原題『Girl, Interrupted』、遮られた少女、という意味)は、そのタイトルどおり私の実生活をも遮ってしまった」とライダーが語る。精神科病院に入院した若い女性を描いたこの映画に主演し、エグゼクティブ・プロデューサーを務めた作品だ。この作品でアンジェリーナ・ジョリーはアカデミー賞助演女優賞を受賞している。「1993年(『愛と精霊の家』で)、チリの刑務所で拷問を受ける役を演じたときのことを思い出す」と、ライダーは話す。 そのとき、彼女は素晴らしいセラピストに出会ったそうだ。そのセラピストは彼女に若い頃の自分自身に優しくなるように想像してみて、と促してくれたのだという。「撮影での特殊メイクで、私の顔にはあざや傷ができた。この少女を私自身として見るのがつらかった。『私は自分を大切にするのと同じように、この少女を大切にしているだろうか?』と、役柄の自分の姿を見ながら自問していたことを思い出す。『いや、実は私はこうやって自分を傷つけているんだ』と感じた。本当にその頃の私は、まったく自分を大切にしていなかったから」