【解説】国内のワクチン接種はいつになる?接種までの流れと課題は?
新型コロナウイルスによる死者が増える中、国内でのワクチン接種はいつ、誰を対象に始まるのでしょうか。今後の見通しと山積する課題について、解説します。
全国で死者が104人 初めて1日で100人超え
1月20日、東京都で新たに確認された新型コロナウイルス感染者は1274人で、8日連続で1000人を超ました。重症者は160人で、1月19日からさらに5人増え、過去最多を更新。また、1月19日には東京で16人が亡くなったことが確認され、全国でも死者が104人と、初めて1日あたり100人を超えました。
国内で接種開始のワクチンは?
国内ではすでにファイザーなどが開発したワクチンが承認を目指す申請をしていて、政府は2月からの接種開始を目指しています。 また、まもなく臨床試験がはじまる見込みなのがアメリカのメーカー、モデルナが開発したワクチンです。 接種回数は、どちらも2回。日本政府は、ワクチンの承認後、ファイザーからは6000万人分、モデルナからは2500万人分の供給を受ける予定です。 どちらのワクチンも冷凍保管が必要で、ファイザーのワクチンはマイナス75℃、モデルナのワクチンはマイナス20℃です。
保管には特別な冷凍庫が必要ですが、健康医療機器などを扱うメーカーの工場で作られているのは、ファイザーのワクチンを保管できる「超低温冷凍庫」で、マイナス85℃で保管できます。2020年から政府と打ち合わせを重ね、1月から24時間体制で生産を始めたといいます。
政府から打診されているのは、幅55センチ・高さ95センチで、家庭用の小さな冷凍庫のようなイメージです。1台で3500本のファイザーのワクチンを保管できます。政府は、ファイザーとモデルナ、それぞれに対応できる「超低温冷凍庫」を1万台ずつ用意して、全ての市区町村に配ろうとしています。
国内のワクチン接種 開始時期と対象者
私たちがいつから接種できるか、気になるスケジュールが少しずつ見えてきました。 厚労省が示したイメージによると、まずファイザーのワクチンが承認されることが前提となりますが、2月下旬から「先行接種」が始まります。国立病院や公的病院の「医療従事者」(同意した人のみ)約1万人が対象です。医療従事者がまずは打ちますが、国民の不安や心配の声があるため、国の研究班が1か月程度、この人たちの健康変化や副反応を調べ、随時公表していきます。 続いて、3月半ばからは「優先接種」が始まります。残りの医療従事者300万人程度になります。 3月下旬には65歳以上の高齢者、最大4000万人への接種を見込んでいます。 その後、4月下旬ごろ、持病がある人や肥満の人に優先的に接種していく計画です。 そして5月以降に、一般の国民の接種を開始する想定です。これは全員に、3週間間隔で2回の接種を想定しています。 対象年齢は16歳以上になる見通しです。これは、16歳未満にはワクチンの治験を実施していないためです。 しかし、この接種時期の計画は「早ければ」であって、今後遅れる可能性も考えられます。そもそも、承認申請をしているワクチンがファイザー1社だけなので、承認がスムーズにおりなければ、ずれこみます。