石坂浩二「時代劇の出演には時代を選ばないと」『べらぼう』で出演12作目の大河ドラマ、特別感と大変さを語る
御年83歳。NHK大河ドラマに、“大型時代劇”と呼ばれた第1作『花の生涯』から、これまで主演を含めて、実に11作に出演してきた石坂浩二。来年は、『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で12作目の出演を果たす。今年は映画も2本公開。趣味の広さや博識な姿で、俳優業以外でも知られ、「芸能界に石坂浩二あり」の存在だ。そんな大ベテラン・石坂さんのTHE CHANGEとは──。【第2回/全4回】 ■【画像】約30年ぶりの共演!『海の沈黙』で石坂浩二の妻役を演じている小泉今日子との豪華ショット 50年以上の俳優人生を誇る石坂さん。取材開始前、勝手に緊張していたこちらをよそに、サイトのアイコンの砂時計をすっと手に取った石坂さんが、「私も持ってるんですよ。家に数種類あります」と気さくに話し始めた。「飾られているんですか?」と尋ねると、「料理するときに使うんです。20分とか30分計れるものがあって、スープを作るときなんかに使えるんです」と教えてくれる。大御所ゆえの余裕が、その場の空気を緩めていった。 スターの証といえるNHK大河ドラマに、第1作目(!)から出演している石坂さん。2025年放送の『べらぼう』で12作目の出演を果たす。 ──せっかくなのでお尋ねしたいのですが、大河ドラマには、やはりどこか“特別感”はありますか? 「特別というと、時代劇というところに特別さがありますかね。私が思うに、時代劇こそ逆に、さしさわりがなくいろんなことが描ける。明治期のころの人をやるのが一番大変ですよね。お孫さんがどこかにいらっしゃったりするかもしれないですから。時代劇はいわゆる芝居らしいという意味で、やっていてつらいところもありますが、楽しいです」 ──つらいというのは、どんな点が。 「つらいのは正座。時代劇の出演には時代を選ばないと。戦国時代はあぐらですから。あぐらもよろいを着たままだと結構大変ですが、慣れちゃえばラクです。でも正座は大変です」
2025年放送の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で松平武元役を演じる
──『べらぼう』は江戸時代のお話ですね。石坂さんは大名・松平武元役です。 ※2025年放送のNHK大河ドラマ第64作は『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』。主演は横浜流星さんで、江戸時代の版元(出版人)蔦屋重三郎の生涯を描く。脚本は森下佳子さん。 「現場でも武元(たけちか)さん、武元さんって呼ばれてるんですけどね。言われてるだけならいいんですけど、この間、松平武元って書いてサインしてくださいって言われたんです。それで書いてるときに、“武元の武の字をうまく書ける人、あまりいないんですけど、上手いですね”なんて話しかけられて、“本名が武藤兵吉で武の字が入ってるからね”なんて答えてたんです。そしたら、松平武藤・・・とか書いちゃって(笑)」 ──役名と本名が合体(笑)。 「そうそう。松平武藤兵吉になるところでした(笑)」 いつでも完璧そうな石坂さんのおちゃめなエピソードにほっこりしながら、大河ドラマの撮影にどっぷり浸かっているのだろうと期待に胸が膨らんだ。 いしざか・こうじ 1941年6月20日東京都生まれ。慶應大学在学中の1962年にテレビドラマ『七人の刑事』(TBS)でデビューし、卒業後に劇団四季に入団する。TBSテレビのプロデューサー、石井ふく子に見いだされる。NHK大河ドラマに『天と地と』『元禄太平記』『草燃える』3作品で主演。2025年『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で大河ドラマ12作目の出演が決定している。市川崑監督とのコンビでもよく知られており、特に『犬神家の一族』(1976)の金田一耕助役は高い人気を誇る。近年では倉本聰脚本による主演ドラマ『やすらぎの郷』(テレ朝系)が好評を博した。ほか近年の主な出演作に、ドラマ『相棒』(テレ朝系)シリーズ、『ブラックペアン シーズン2』(TBS系)、映画『変な家』(2024)、最新作に『海の沈黙』。 望月ふみ
望月ふみ
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