ロシア反体制派本部に「コスプレ美女集団」が乱入… “嫌がらせ”で確信した「トランプ」との関係
今年2月、北極圏にある刑務所で死亡したロシア反体制派の指導者、アレクセイ・ナワリヌイ氏。2020年に毒殺未遂事件の被害に遭ったのち、獄中死する直前まで、ナワリヌイ氏は「ロシアの闇」を暴く文章を執筆し続けた。その中には、大統領選で勝利し2期目の就任が決まったトランプ氏とロシアとの関係を伺わせるエピソードも含まれていた――。 【写真を見る】妻は帰国すれば拘束の危機 娘は米スタンフォード大を卒業後、ハリス陣営のスタッフに (前後編の前編) *** ※この記事は『PATRIOT プーチンを追い詰めた男 最後の手記』(アレクセイ・ナワリヌイ著、翻訳・斎藤栄一郎/星薫子、講談社)の内容をもとに、一部を抜粋/編集してお伝えしています。
ナワリヌイ氏の選挙本部を占拠したセクシーコスプレ美女軍団
ある日、モスクワの本部(註:2017年当時、大統領選への出馬を表明していたナワリヌイ氏の選挙本部のこと)が見知らぬ若い女性の一団に襲われた。幸運にも、私はその日不在だった。そのときの様子を振り返ってみよう。仕事中の本部に女性の集団が乱入してきたのだ。ラバーパンツとセクシーな警察官のコスプレを身に着けた女性たちが、警棒や鞭や手錠を振り回す。 とてもみだらな仕草で唖然としたスタッフに詰め寄り、すべての状況をカメラに収めていた。こんな状況でスタッフに一体何ができただろうか。本物の警察に電話をかけるのもおかしいだろうし、それにそんなことをしたところで、何の助けにもならなかっただろう。スタッフが乱入した女性らを丁重にあしらい、何とか外に追い出した。その後、彼女たちが撮影した動画は政府系メディアで流されていた。 私が知りたかったのは、乱入騒ぎの首謀者だ。私は調査チームのトップ、マリア・ペフチフに乱入集団の素性調査を依頼した。SNSで見つけ出すのは楽勝だった。セクシーガールたちのリーダーはベラルーシ出身のナスチャ・ルイブカだ。デートクラブ嬢として働いていたが、金に目がくらんで、クレムリンの政略にのっかったというわけだ。 Instagramのアカウントには、自分自身のセクシーな写真だけでなく、オリガルヒ(新興財閥)を誘惑した顛末も投稿していた。そのオリガルヒとは、オレグ・デリパスカだ。この人物の私生活にはまったく興味はなかったので、この発見も通常ならすっかり忘れ去られていたかもしれない。 しかし、投稿のなかに、ルイブカ(デートクラブ嬢)がデリパスカとクルーザーで一緒に過ごしたバカンスの動画があり、その中に現副首相セルゲイ・プリホチコ[訳注:2017年当時]の姿を見つけ出した。