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家にも学校にも居場所がない「10代の性的少数者」

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ハンギョレ新聞

青少年支援センター「ティンドン」の5年間の相談事例を分析 

家庭では精神科病院に行かせ、学校では嫌悪・いじめ  性的アイデンティティを理由に家族の葛藤が触発  「親から暴力・監禁・虐待を受けた」32%  学校へ行けば「同性愛者が来た」とひやかし  トランスジェンダーの25%が「学校をやめた」  「自立・家庭から離れることを考える」相談の割合は高いが  青少年のシェルターですら男女区分する「高い壁」  「政府による危機の青少年支援対策が急がれる」  17歳のレスビアンのユンジ(仮名)が精神科病院に連れて行かれるようになったのは、机の上に置いた手紙のためだった。ユンジのガールフレンドが送った手紙を見た母親は、娘の性的アイデンティティを知った。葛藤の末に母親が下した結論は「治療」だった。ユンジは拒否したが、母親は断固としていた。精神病院の医師から「性的アイデンティティと性的指向は治療の対象ではない」という答えが返ってきたが、母親は「治療可能だ」という答えを聞くまで、ユンジを無理やり連れていくつもの精神科病院を転々とした。  多様な性的指向と性的アイデンティティが尊重されない社会で、性的少数者たちは自分を隠したまま人知れず苦しむ。社会でまだ自立できない青少年の性的少数者には痛みがさらに重くのしかかる。性的少数者だという理由で家族と葛藤が生じた場合、一人立ちが難しい上に、 学校でもいじめられるからだ。設立5周年を迎えた青少年性的少数者危機支援センターの「ティンドン」が、過去5年間に相談・支援した事例2055件を分析した結果によると、青少年の性的少数者は保護されるべき学校と家庭においても、差別と嫌悪にかろうじて耐えていた。  ティンドンに相談を要請した青少年の32.1%(660件)は、ユンジのケースのように家族内の葛藤や虐待を訴えた。18歳のジホ(仮名)も「両親はクィアフェスティバルに反対する集会に参加するくらいなので、私が『同性愛者ではない』と言うまで暴力を振るった」とティンドンに相談を持ちかけた。ティンドンのチョン・ミンソク代表は「子どもに嫌悪表現や見下す発言をしたり、身体的な暴力を振るったりする場合も多い。子どもの外出を妨げたり、宗教施設に送って性的アイデンティティを転換させようとしたケースもあった」と話した。  彼らが負う苦痛は家庭内に止まらない。相談事例のうち5.9%(121件)は「学校内でのいじめ」と不登校に対する悩みだ。ミンジュ(18、仮名)はクィアフェスティバルに行ってきたという理由で同じクラスの生徒から数多くの嫌悪発言を受けた。ミンジュが教室に入ると、生徒たちは「同性愛者が来た」と言ったり、「淫乱なフェスをなぜやるんだ」と皮肉った。ミンジュは学校で食事もできないほどひどくいじめられたことを訴えた。  性的少数者であることが相対的に表に出やすいトランスジェンダーの場合、学校生活はさらに困難だ。ティンドンが相談を受けたトランスジェンダーの青少年106人のうち27人(25.5%)は、すでに学校をやめた状態だった。ソン・ジウン弁護士は「日本ではトランスジェンダーの生徒のための指針があり、学校で彼らを配慮できるが、韓国には現場のガイドラインがない」と指摘した。  深い孤立感の中で、多くの性的少数者の青少年たちは自立と家庭から離れることを夢見る。相談事例のうち、最も大きな割合を占めたのは「自立と家を出ること」(35.6%)についての質問だった。家庭から離れた青少年が社会で最後に頼れる場所は青少年シェルターだが、性的少数者にはシェルターの利用すらままならない。19歳のインス(仮名)は同性愛者だという理由で父親に虐待された後、シェルターを訪ねたが、シェルターはインスを追い返した。家庭内暴力の理由が性的アイデンティティのためだということを知り、シェルター側は「性的少数者を他の子どもたちと一緒に泊まらせたらシェルターが乱れる可能性がある」と話した。チョン代表は「男女でシェルターが分かれているため、トランスジェンダーは事実上シェルターの利用が難しい。性的少数者であることが知られればシェルターででもそれとなく差別を受けたりもする」と話した。結局、シェルターすら訪れることのできない彼らは、街をさまよい暴力にさらされることが日常茶飯事だ。  彼らは差別と嫌悪の中で精神的苦痛を訴える。相談事例のうち27.2%(559件)はメンタルヘルスに対する相談で、自害や自殺の危機に瀕しているケースは12.4%(255件)だ。ソン弁護士は「多くの性的少数者の青少年が差別に直面する度に無気力と恥辱を感じ、『消えたい』『自分は一人ぼっちだ』と感じる」と語った。  危機にある青少年への支援体系から排除された青少年性的少数者たちを包容する政策を、政府が講じるべきだという指摘が出ている。チョン代表は「政府はすでに存在する危機的青少年への支援体制の中で、性的少数者である彼らをどのような方法で支援できるかについて考えなければならない。まず学校の現場から変えるべきだ」と語った。 カン・ジェグ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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