中京大中京・畔柳、熱投410球 好投しつつ降板 選抜高校野球
第93回選抜高校野球大会は第10日の31日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で準決勝が行われ、中京大中京(愛知)は4―5で明豊(大分)に敗れ、第69回大会(1997年)以来9回目の決勝進出を逃した。 【明豊vs中京大中京】大熱戦の準決勝を写真特集で エースらしい好投をみせベンチに引き揚げた中京大中京の畔柳だったが、再びマウンドに向かうことはなかった。 5点を先行された四回2死二塁の場面で救援に向かった。今大会本塁打もマークしている明豊の2番・幸を、外角高めのスライダーで中飛に打ち取りピンチを脱した。五回も3者凡退に仕留め、続く六回はスライダーやカーブなど変化球を主体に3者連続三振。悠々とベンチに引き揚げ、これからという時だった。「突然、右腕に力が入らなくなった」。ベンチの奥で理学療法士の治療を受けたが回復の兆しは見えない。六回2死二塁で回ってきた打席に代打が送られ、降板が決まった。 準々決勝までの全3試合に先発し、総投球数は379球に達した。30日の休養日は全体練習には参加せず宿舎で体を休めたが、高橋監督はエースの異変を逃さなかった。表情や仕草から「1試合を投げ切るのは難しい」と判断し、準決勝での先発を回避。六回から救援に向かうはずだった。 しかし、先発・柴田が四回につかまり5失点。なおも続くピンチに登板予定を早めざるを得なかった。ブルペンに入ったばかりだったが、高橋監督は「流れを止められるのは畔柳しかいない」と決断。六回限りで降板した畔柳は「肘が重かった」と異変を感じながらも、7人の打者を相手に無安打5三振。十分な働きにも「途中で降りてしまい、申し訳ない」と繰り返した。 この日の31球を加えて、初めての聖地で計410球。チームを4強入りに導いたが、本人にとっては「ふがいない」最後だった。「もっと投げたかった。次は絶対に投げきる」。エースのあり方を再確認した春となった。【森野俊】 ◇決勝戦もライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」では、決勝もライブ中継します(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2021)。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)でも展開します。