フェンシング・西岡詩穂、オリンピックは「感謝を唯一“姿”で伝えることができる場所」
荒川静香と高橋尚子がパーソナリティを務め、東京海上日動がお送りするTOKYO FMの番組「MY OLYMPIC」。かつての名選手から将来有望なオリンピック代表選手のタマゴまで、さまざまなアスリートの輝きをお届けしています。2月1日(月)~5日(金)、8日(月)~12日(金)、15日(月)~19日(金)、22日(月)~26日(金)の放送では、フェンシングの西岡詩穂選手が登場。本記事では、2月19日(金)、22日(月)~26日(金)でのトーク内容を紹介します。 西岡選手は、フェンシング女子フルーレの日本代表選手として、2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロと2大会連続でオリンピックに出場。今夏開催予定の東京オリンピックへの出場も期待されています。 そんな彼女にとって、初のオリンピック出場となった2012年のロンドン大会。当時の心境について「高校生くらいからオリンピックのイメージを固めてきたつもりだったんですけど、いざその舞台に立った瞬間、緊張やワクワクなど、それまでに感じたことのない感覚や感情が多すぎて、私のなかで(気持ちの)整理ができなくなっていました。ですが“先輩たちのために頑張ろう!”という気持ちが一番大きかったので、そこで冷静さをとり戻して試合に臨んだ感じでした」と振り返ります。 その大舞台での結果は、個人では2回戦進出、団体は7位入賞でした。「現実としては、まったく納得できる結果ではなかった。オリンピックを2回経験して言えるのは、“気持ちの準備が全然できていなかった”というのは反省すべきところ」と話します。 また、「団体が勝てなかったのは、正直いまでもわからない。“最強のチーム”だと思っていたのに勝てなかったので、悔しさだけが残る団体戦だった。なので、叶うことならもう一度同じメンバーで挑戦したかったんですけど、先輩たちは全員引退してしまったので、その夢は叶えられずに終わった。“これがオリンピックなんだ”という感じでしたね」と悔しさをにじませます。 それから4年後のリオデジャネイロ大会出場を目指しトレーニングに励んでいた西岡選手でしたが、同大会ではフルーレの団体戦はおこなわれないことが決まっており、個人での出場を目指すしかありませんでした。 その道のりについて、「リオに向かう4年間は地獄でしかなかった」と西岡選手。個人戦で戦うことは、日本のなかで常にトップで居続けなければならないということ。それだけに、「練習もチームでワイワイしたり、仲よくしたりすることもなく“基本、1人でいる”と決めました。できることなら、練習のとき以外は(チームメイトと)一緒にごはんに行ったり、楽しく過ごしたいというのが本音なんですけど、後輩たちが敵になることもあるので“隙を見せないように”と、自分のなかで制御をかけました」と過酷な日々を打ち明けます。 そんなストイックぶりが実を結び、自身2度目のオリンピックとなるリオデジャネイロ大会への切符を手にしました。 出場権を獲得した瞬間、「みんなに“無視してごめん”、コーチに“感謝”、そして“これから頑張ろう!”という3つの気持ちが湧いてきましたね」と回顧。試練を乗り越え、再び戻ってくることができた夢の大舞台でしたが、「リオの準備段階でうまく練習できない期間が約1年半あったので、それを思い出すだけでも本当に腹立たしい……出し切れなかった、自分をつくり切れなかった」と、自分が納得できる結果を残すことも出し切ることもできず、個人3回戦進出という結果でした。 しかし、西岡選手は次こそ雪辱を果たすべく、“東京オリンピックを集大成の大会にしよう!”と前を向きます。 「オリンピックというだけでも素晴らしい大会なのに、それが日本で開催されるというのは、言葉が足りないですけど“すごいことだな”と感じています。そこに出場して結果を出せたら、いままでのフェンシング人生の集大成として“素晴らしい形”になるんじゃないかと思っています。ただ、出場に関してはまだなにも決定していないですし、いまはその準備段階。最後まで気持ちを切らさないように、身体面、技術面を落とさないことを心がけて毎日を過ごしています」 そう思いの丈を語り、最後に「オリンピックの舞台に立って伝えたいことは“感謝”の1つしかないと思っています。いままで支えてくれた方がいなければ私はその場に立てていないし、ここまで強くもなれていない。もし東京オリンピックの舞台に立てているのであれば、それは絶対に私1人の力では成し得ることではない。その強い気持ちを持って戦うからこそ、選手は強くあれると思う。その気持ちを言葉じゃなくて、唯一“姿”で表して伝えることができるのがオリンピック。場所ではなく、人の思いの大きさですよね」と自らを鼓舞していました。 (TOKYO FM「MY OLYMPIC」2021年2月19日(金)~26日(金)放送より)