Bリーグ再開、東地区の後半戦展望(後編)川崎はハンドラー辻直人の成長など個々の好材料をチームに組み込めるか
SR渋谷はベンドラメの『日本人エース』への飛躍に期待
文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE レギュラーシーズン60試合のうち27試合を消化しての20日間のブレークが明け、Bリーグ後半戦がスタートする。新型コロナウイルスの影響を大きく受けながらも、折り返し地点までシーズンは進んだ。この先の展望を、東地区と西地区に分けて見ていきたい。 3位のサンロッカーズ渋谷が19勝8敗、富山グラウジーズと秋田ノーザンハピネッツが18勝で続き、それを17勝の川崎ブレイブサンダースが追う。地力ではSR渋谷と川崎が上で、チャンピオンシップに進出するだろう。とはいえ、そこで勝ち上がれるかは話が別。SR渋谷はクラッチタイムを託せる選手がライアン・ケリーしかいないことが天皇杯で明らかになり、他の選手のステップアップが待たれる。すでに『さすがNBAプレーヤー』の貫禄を見せているジェームズ・マイケル・マカドゥがチームによりフィットすること、また日本人エースとしてベンドラメ礼生のさらなる奮起にも期待したい。 川崎はタレント力で言えば千葉と宇都宮に並ぶレベルだけに、今の順位はネガティブに見なければならない。爆発力のある藤井祐眞が先発となり、安定感がありディフェンスから流れを変えられる篠山竜青が控えに回る変更は、互いの持ち味が出て成功しているように見える。増田啓介が目に見えて成長しているのも大きい。好不調の波が激しかった辻直人も、今シーズンはハンドラーとしての能力を伸ばしてこれまでとは違う活躍を見せている。これらの好材料をチームとしてより引き出せれば、川崎はまだ伸びるはずだ。 川崎にとってチャンピオンシップ進出は最低限のノルマとして、そこから勝ち上がっていくためのポイントは、毎年のように勝負どころで主力にケガ人が出る悪い流れを今回こそは断ち切ること、そのためのリスクマネジメントがまず挙げられる。そして万能のスコアラーであるニック・ファジーカスの完全復活だ。スタッツはそれほど落ちていないものの、勝負どころでの絶対的な存在感が薄れているのが気がかり。動き自体は悪くなく、ここをファジーカス自身が乗り越えることが重要だ。