川崎フロンターレ 取材カメラマンが狙う!Jリーグ2021注目選手(7)
J2021年のJリーグがいよいよ幕を開ける。本稿では新たなシーズンに挑むJ1各チームの注目選手を2名ずつピックアップ。チームとしてのポイントも紹介する。ニュースターの誕生を期待したい。 【動画】 橘田健人選手の内定インタビュー
◎川崎フロンターレ
圧倒的な強さで2020年のJリーグを制した川崎。勢いの原動力となった5人の交代枠をフル活用する戦い方は今年も可能で、川崎を中心にリーグ戦が進んでいくことは間違いない。 海外移籍が囁かれるほどの活躍を見せた三笘薫と田中碧は今年もチームの一員で、MVPでもおかしくなかった家長昭博も健在だ。攻撃でボールを失わない川崎は、守備になっても陣形が崩れていない。中央の田中と大島僚太は攻守で相手を圧倒し、エウシーニョが移籍して以来固まらなかった右サイドバックは山根視来が定着し家長と抜群の関係性を見せた。左サイドは三笘の良さを120%発揮させるために登里亨平がサポート役をこなしている。相手が中盤を省略して攻めようとしても、そしてどん引きして守ろうとしても最終ラインのジェジエウが強さで制し、チョン・ソンリョン、谷口彰悟、大島、小林悠といったセンターラインがチームを統率する。 まさに隙のないチーム。川崎がどう勝つか、よりも、他チームが川崎をどう止めるか、の方が注目ポイントになる。
■注目選手(1) MF:橘田健人(横浜桐蔭大学から加入)
中村憲剛の引退と守田英正の海外移籍によって層が薄くなった中盤には、名古屋グランパスからジョアン・シミッチ、大分トリニータから小塚和季、松本山雅から塚川孝輝をそれぞれ獲得した。いずれも川崎のサッカーで良さを発揮することが容易に想像できる選手だ。昨年と同じ4-3-3ならば、順当にいけば大島と田中は当確で、あと1枠を実力者が争うことになる。そこに割って入るのが大卒ルーキーの橘田だ。 中村も守田も大卒でルーキーイヤーから活躍してきた。昨年ブレイクした三笘も大卒ルーキーだ。小林、谷口、車屋紳太郎、脇坂泰斗、長谷川竜也、旗手玲央ら、川崎は大卒の選手が多く活躍してきた。 橘田は視野が広いボランチだ。長短のパスでボールを動かし、セットプレーのキッカーも務める。パスのみならず、ドリブルも得意だ。抜けるタイミングがあれば勝負する。これだけで、中村のことを連想する人は少なくないだろう。 それだけではない。昨年、フロンターレのキャンプに参加した橘田は中村と同部屋で過ごし、助言も受けた。そのエピソードは既にサポーターの間で広く知られており、プレーだけでなくその部分でも中村の後継者という目で見られることが多い。 ルーキーに過剰な注目が集まるのは負担になってしまうこともあるが、ファンとの接触機会がなくなっている現在の状況はそこを楽にさせる。加えて、今年も三笘や田中に注目が集まることは確実で、橘田が視線を一身に集めるようなことにはならない。助言をくれた中村もFROという新役職でチームにとどまり、小林や谷口も見守ってくれる。 ACLも戦う今年は試合数が多く、出番は間違いなく与えられる。川崎の歴史に加わる環境は十分に整っている。
原壮史