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<アライブ>描きたかったのは「友情とは別の深い信頼関係」プロデューサーが語る最終話の注目ポイントは?

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ザテレビジョン

がん診療に命を懸ける医師と患者たちを描く松下奈緒主演のメディカル・ヒューマンドラマ「アライブ がん専門医のカルテ」(毎週木曜夜10:00-10:54、フジテレビ系)。 国立がん医療センターへの移籍について決断を迫られる心(松下奈緒) 「WEBザテレビジョン」では、本作で監督を務める高野舞氏に続き、「モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―」(2018年4~6月)や「シャーロック」(2019年10~12月)など、数多くのドラマに携わってきたヒットメーカー、太田大プロデューサーに話を聞いた。 ■ 医療ドラマだからこそ描けるものとは ――本作を作ることになった経緯を教えてください。 2017年の夏くらいから、高野監督と「(彼女の)監督デビュー作を一緒にやろう」という話をしていました。それで、「どんな方向性のものがやりたいか?」と聞いたときに、家族のことを描きたいということと、自分が女性だから女性の物語がいいということだったので、女性中心で、女性の人生を描くものがいいなと思っていました。 ちょうどその頃考えていた企画で姉妹の物語や女性2人の物語があり、脚本家の倉光(泰子)さんをお呼びして、企画をブラッシュアップしていく中で、何がベストな設定なのかという段階で、医療ドラマを候補に上げました。医療ドラマならば、いろいろな人の人生を見ることができ、人を救わなくてはいけない職業の人が抱える闇も描くことができるということで、最終的に決定しました。 高野監督も交えて話を深めているところで、高野監督から腫瘍内科のアイディアが挙がり、これこそ患者さんたちの人生を背負っていく医師の姿が描けるということで、腫瘍内科をテーマに決めました。 高野監督はとてもストーリーテリングが上手で、他の人が考えつかないような、いい意味の“小さい裏切り”がいっぱい作れる監督です。このとき、こんな顔をさせるんだというびっくりを作れる人だと思います。 ■ “献身”がキーワードの一つ ――本作のコンセプトや、それを視聴者に伝えるためにこだわっている部分は? コンセプトは、つらい現実を受け入れながら前に一歩踏み出すという、とてもベーシックで普遍的なのですが、そういうものを考えていました。 がんにかかるということは、昔は“もう助からない”というイメージがあったと思います。でも、医療が発達してからは、“がん=死ではない”という考えがだいぶ普及して、社会ががんと向き合うようになりました。 だから、脚本上では、登場人物たちがつらい現実を目の当たりにする描写を多くするのではなくて、どういうふうに前に進んでいくかというところに重きを置いています。病気を宣告されたという描写を抑えることで、メッセージがより伝わりやすくなっているのかなと思います。 ――SNSなど視聴者の方々の声はご覧になっていますか? 検索できる限りは見るようにしています。今、多いのは、心(松下奈緒)と薫(木村佳乃)の関係についてですよね(笑)。友情とは別の深い信頼関係を描きたかったので、恋愛感情があるようにも見えるのかもしれません。 実は、今作のキーワードの一つが“献身”でした。家族、恋人ではない誰かに、自分の身をささげることができるのかということと、ささげ合ったのに、その人が裏では自分に贖罪(しょくざい)の気持ちを持っていたという、反比例する、アンビバレントな話をやりたいなと思っていたので…これらを並べるといろいろ想像はされるのかなと思います。それが今SNSで盛り上がっている、と(笑)。 ――そこは意図していなかったのですね。何か本作の裏設定として決めていたことはありますか? 脚本上出せる設定は全部出していて、“実はこうでした”というものは第1話の最後だけにしています。第1話の最後は、そこまでのものを全部ひっくり返すような描写だったと思うんです。 信頼できる人ができたと思ったら、その人が一番の近付いてはいけない人だったという、よくあるどんでん返しの手法でしたが、それ以降はあまり隠していることもないです。ただ、一つあるとすれば、第1話で薫が心の自転車のタイヤをパンクさせていたことですかね(笑)。 「医療ミスをしたのは私なの」と薫が告白する第5話と、「実は須藤先生(田辺誠一)だった」という第6話。その後、2人の関係は正常化されましたが、パンクさせたことは隠したままです。 パンクのことは、医療ミスの話をしたあとに「パンクも私なんだよね」と言われたとしても心は戸惑うしかないですし、そこで、「やっぱり!あれもあなたなの!?」と思うのか、「それよりすごいこと聞いたし…」と思うのか、心があの自転車に対してどれくらいのモチベーションがあるのか決めていないので、それだけは謎のままです(笑)。 ■ 今期は医療ドラマが6作品と集中 ――医療ドラマは視聴率が取りやすいなどと言われていますが、医療ドラマが多い時代に、あえて医療ドラマを作る理由は? 医療ドラマと刑事ドラマは大きく外れないだろうという思いがもとになっていると思います。とはいえ、「医療ドラマをやっていればいい」という安易な考えでやっている制作者は一人もいないはずです。 医療ドラマもいろいろあるジャンルの中のただの一つで、今期はたまたま6作品が存在したためにその論調が強いですが、これまでもそういうときは、なくはなかったのではと思うんです。個人的には、企画が被ってしまったりすることは、各局が別の会社なので、致し方ないことなのかなと。各業界でも同様の種類の商品が存在するのと同じことかと。全局で横並びの会議ができればいいんですけれども。 ――他局のスタッフの方と、ジャンル被りについて話をしたことはありますか? ないです。各局やっていることが違うので、違うように見えているんじゃないかとは思うのですが、大きく引いて見ると、供給できるドラマの数が限られている中で、視聴者の方へのサービスになっていないのではないかとも思ったりします。なので、完全に同内容の企画がバッティングしてしまったら、それは勘案すべきかもしれません。ですが、同じジャンルというだけで中身はそれぞれ全く違うと思うので、ジャンルが被っただけで他局の動向を探ろうとは思いません。 ――太田プロデューサー自身の今後の展望を教えてください。 基本軸は、どのドラマも、大きな暗闇の中からどう抜け出して光を求めていくかというようなことがやりたいと思っています。他になんとなく考えているのは、これだけ情報があふれる時代ですし、メディアの形がなくなり始めているというか、どこで何を見聞きしたかを覚えきれないくらいネットメディアが台頭している中で、往年のメディアの存在意義や情報化社会、そこで働く人々の友情ストーリーができたらと思っています。 ――最後に、「アライブ―」の最終話(3月19日[木]放送)に向けて、見どころを教えてください。 一番は、心と薫がどういう人生の選択をするのか、そして2人の絆は永遠なのか、2人がどう人生の荒波を乗り越えるかというところです。 あとは、それぞれの結実が描かれます。また、今作は民代さん(高畑淳子)とか京太郎さん(北大路欣也)とか人生の経験値を積まれた方々の言葉に注目していただきたいと思っていました。人生の諸先輩方が見てきたものは厚みが違うので、そういう方々が発する言葉一つ一つの重みが、心にも薫にも、もちろん見てくださる方にも届くし、染みるものになっていると思います。 ■ 最終話あらすじ 心(松下奈緒)と薫(木村佳乃)は困難を乗り越え、医師として、友人として、強く信頼しあえる関係を築いた。そんな矢先、薫は乳がん手術から5年目の検査で、がんの再発が判明。その告白を受けた心は、2人で乗り越えようと誓い合う。しかし、薫の病状は重く、手術は難しい。それでも薫は抗がん剤治療を受けながら、外科医としての仕事を続けたいと心に頼む。 一方、心の国立がん医療センターへの移籍の話も期限を迎えようとしている。医師としての将来を思う阿久津(木下ほうか)にも決断を迫られるのだが、薫の件もあり、心は答えることが出来ない。また、研修期間が終わろうとしている結城(清原翔)と夏樹(岡崎紗絵)も、どの科に行くか決めかねていた。 佐倉莉子(小川紗良)が化学療法室で治療を受けていると薫が来た。治療を受ける薫に驚く莉子。だが、莉子もすでにがんと闘う決意に満ちている。莉子は戸惑っていた職場への病気の報告も済ませ、今はフリーペーパーの編集も手伝っていると薫に話す。そんな2人を、同じく抗がん剤治療を受けていた橘千寿子(三田寛子)が見ていた。 2人の女性医師、そしてそれぞれの医師たちに、変革と旅立ちのときが訪れようとしていた。 ※高野舞監督の「高」は正しくは「はしご高」(ザテレビジョン)

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