英国向けジープ・アベンジャーが100万円近い大幅値引き EV販売に弾みをつける
ZEV規制に対応か
ジープは小型EV「アベンジャー・エレクトリック(Avenger Electric)」の英国向けの価格を大幅に引き下げた。これにより、ミニ・エースマン、スマート#1、ボルボEX30などのライバル車を大幅に下回る価格となった。 【写真】「小さなジープ」は電気で走る【ジープ・アベンジャーを写真で見る】 (18枚) エントリーグレードの「ロンジチュード」は、従来よりも5000ポンド(約95万円)安い2万9999ポンド(約570万円)からとなった。EX30よりも2850ポンド(約55万円)安く、また新型フォード・プーマGen-Eとは同等の価格帯である。 中間グレードである「アルティテュード」の価格は3万1999ポンド(約610万円)で、従来よりも4700ポンド(約90万円)安く、上位グレードの「サミット」は4900ポンド(約93万円)引き下げられて3万3999ポンド(約650万円)となった。 値引きを行った理由について、ジープの親会社であるステランティスはAUTOCARの取材に対し、次のように説明した。「今回の価格調整により、顧客にとってEVのジープ・アベンジャーへの移行がより身近なものとなり、ICE(内燃機関)モデルと比較して大幅な価格差なくEVという選択肢を提供できる」 ガソリンエンジン搭載のアベンジャーの英国価格は2万4949ポンド(約475万円)からとなっている。 この動きは、英国政府のZEV規制(ZEV義務化)に対応したもので、EV販売目標が年々増加していくのに伴い、アベンジャー・エレクトリックの需要を喚起したい思惑があると見られている。 英国のZEV規制では、各自動車メーカーの新車販売台数の22%をEVとすることを義務付けており、その割合は来年には28%に増加する。目標未達成の企業には、許容範囲を超えたエンジン搭載モデル1台につき1万5000ポンド(約285万円)の罰金が科せられる。 ジープの現在のEV販売台数から判断すると、来年は28%の目標を達成できる見込みだが、ぎりぎりのラインであると考えられる。 現在唯一のEVであるアベンジャー・エレクトリックを値引きすれば、ジープ(ひいてはステランティス)がもっと楽に目標達成できることは間違いない。
チャーリー・マーティン(執筆) 林汰久也(翻訳)