コロナ重症患者にも対応、近畿大が世界最小級「ECMO」開発
21年に医療機器メーカーが発売へ
近畿大学生物理工学部の福田誠准教授らは、小児や低体重の重度呼吸不全患者向けに世界最小級の心肺補助システム(ECMO)を開発した。心臓外科手術や新型コロナウイルス感染症の重症患者にも対応する。血液の流路への圧力損失を低減し、血液凝固や血栓を発生しにくくした。2021年に医療機器メーカーのジェイ・エム・エス(JMS)が発売予定。 新型コロナ治療の切り札「心肺補助システム」、国内シェア7割テルモの最新技術 最適な設計を探るため、高出力X線コンピューター断層撮影装置(CT)で使用中ECMOの非破壊検査を行った。その結果、流路の局所で空気や血液が滞留して圧力損失が起こり、十分な酸素を供給できなくなると分かった。膜を内蔵するデバイスや流路の設計を工夫して、血液の乱流状態を維持しやすくし、ガスの透過率を高め滞留は発生しにくくした。 血流が滞るとECMOの交換で治療が中断し患者の生命リスクが高まる。特に小児は成人の6倍の頻度で交換が発生するため小型で多くの血液を流せるECMOが求められていた。今後は新型コロナウイルス感染症に適した膜の開発を進める。