インディカーへの新たな道筋に。ホンダの米国拠点HPD、フォーミュラ・リージョナル・アメリカズ王者にスーパーフォーミュラ挑戦の為の奨学金を提供へ
ホンダのモータースポーツ活動における北米拠点、ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント(HPD)は、2021年にフォーミュラ・リージョナル・アメリカズ選手権(FRアメリカズ)でチャンピオンを獲得したドライバーに対し、スーパーフォーミュラでレースをする為の60万ドル(約6241万円)相当の資金提供を行なうスカラシップ制度の設立を発表した。 【写真】Juju、2021年はアメリカに。ROKiTの支援受け『F4 US』参戦 HPDは今回のスカラシップ制度導入により、スーパーフォーミュラで成功を収めてインディカーシリーズへとステップアップする、という道筋を作りたいという狙いがあるようだ。そのモデルケースとなっているのがアレックス・パロウだ。 パロウは2019年にスーパーフォーミュラにデビューすると、1年目からいきなりタイトル争いに絡む活躍を見せた。そして2020年はチーム・ゴウからのサポートを受ける形でデイル・コイン・レーシングからインディカーに参戦。そこでも随所で光るパフォーマンスを発揮したパロウは今季、名門チームであるチップ・ガナッシ・レーシングのシートを獲得し、スコット・ディクソンやマーカス・エリクソンと共にフル参戦することとなった。 FRアメリカズは2018年に『F3アメリカズ』としてスタート。しかし翌2019年にはFIAによるカテゴリー再編に合わせ、アメリカのフォーミュラ・リージョナル選手権として行なわれることとなり現在に至る。HPDはこれまでにも同シリーズでスカラシップ制度を設けており、2020年は同年王者であるリヌス・ルンドクヴィストのインディ・ライツ昇格をサポートした。 HPDのコマーシャル・モータースポーツ・マネージャーのジョン・ホワイトマンは次のようにコメントした。 「HPDと(日本の)ホンダ・モータースポーツとのコラボにより、真の国際的ドライバーを育成するための新たなプログラムを立ち上げることができ、非常に嬉しく思う」 「過去にはアレックス・パロウが、スーパーフォーミュラではインディカーで成功を収めるための完璧な準備ができることを証明してくれた。フォーミュラ・リージョナル・アメリカズからスーパーフォーミュラへの昇格は、インディカーへ通ずる道筋のひとつとなる」 ホワイトマンのコメントにもあるように、HPDは若手ドライバーがホンダのバックアップによってインディカーへとたどり着くという新たなルートを確立しようとしている。それは従来のUSF2000→インディ・プロ2000→インディ・ライツという、いわゆる“Road to Indy”のシステムに代わる、US F4選手権→FRアメリカズ→スーパーフォーミュラというルートだ。 なお、現在インディカーに参戦するドライバーの中にはパロウ以外にも、フェリックス・ローゼンクヴィストやパトリシオ・オワードがスーパーフォーミュラに参戦し、腕を磨いた経験を持つ。 パロウは次のように語った。 「スーパーフォーミュラのレースのレベルは非常に高く、ドライバーにとっては厳しいシリーズだ。そこで得た全ての経験がインディカーで役に立つ」 「僕は日本の最高峰のレースで経験を積む事ができてラッキーだった。インディカードライバーになって、最高レベルのチームであるチップ・ガナッシでレースをするという素晴らしいチャンスをくれたホンダとデイル・コイン、そしてチーム・ゴウには感謝してもしきれないよ」
Jamie Klein