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香港金融人材の日本移住が簡単にはいかない訳

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東洋経済オンライン

 2020年6月30日夜、香港で国家安全法が施行された。施行後の8月10日には、民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏や、現地メディア「蘋果日報(アップルデイリー)」の創業者で親民主派の黎智英(ジミー・ライ)氏らが逮捕された。(両氏はその後保釈)  これを機に、香港人の海外移住が増えると見る考えもあるようだ。自民党の経済成長戦略本部は東京の金融機能強化を打ち出しており、東京に香港の金融人材を誘致してはどうか、という声も出ている。6月11日の参院予算委員会では、安倍晋三首相も「香港を含め専門的、技術的分野の外国人材の受け入れを引き続き積極的に推進する」という旨を発言していた。

 筆者も実際に金融業界で働く数人の香港人たちと、日本移住の可能性について話してみたことがある。しかし彼らの中で実際に移住を決意した人物は1人もいない。それはいったいなぜなのか――。 ■香港人が移住先に求める3つの要素  マイケル(仮名・30代男性)は香港のとある金融機関に勤める押しも押されもせぬ「金融人材」だ。年収は日本円にして3000万円を超える。アジアの金融センターとして外資系金融機関が軒並み支店を置き、ポジションも豊富な香港では、30代でこうした年収を稼ぎ出す人材は珍しくない。

 共働きの妻と娘との3人暮らしだが、主にマイケルの収入で暮らしている。国家安全法の施行をきっかけに、マイケルも海外移住を検討し始めた。妻も娘も、大の日本好き。新型コロナウイルスが流行する前までは、年に1度は必ず日本に旅行していたという。  「娘は日本で育てようかと思うんだ」。筆者はマイケルにそう相談されたが、家族を持つ金融人材はそもそも移住先に何を求めているのか。  マイケルに聞くと、まずは永住権だ、と話す。香港以外の国で永住権を持ちたい、という。ところが、外国人の日本での永住権取得への道のりは険しい。

 「日本の永住権を取得するためには、基本的には継続して10年以上の在留が必要で、うち5年間は就労資格または居住資格での在留を継続している必要があります」(アジアを中心とする外国人の在留資格申請に詳しい松本行政書士事務所・代表行政書士の松本沙織氏)。  ただし出入国管理及び難民認定法に定める在留資格「高度専門職」に認められれば、他の在留資格とは異なり、はじめから在留期間は5年間で、永住権申請への近道となる。

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