『アルトデウス: BC』VR最前線のゲームで味わう驚きのストーリーとロボットアクション【年末年始おすすめゲームレビュー】
文:世界三大三代川 ファミ通.comの編集者&ライターが年末年始のおすすめゲームを語る連載企画。2021年1月1日に取り扱う作品は、VRデバイス用ソフトとして2020年12月4日に発売された『ALTDEUS: Beyond Chronos(アルトデウス: ビヨンドクロノス)』(以下、『アルトデウス: BC』)です。ちなみに、ストーリーに関するネタバレはありません! 【この記事の画像をもっと見る】 【こういう人におすすめ】 ストーリー重視のゲームが遊びたい 巨大ロボットが好き VRならではの演出を堪能したい 世界三大三代川のおすすめゲーム 『ALTDEUS: Beyond Chronos(アルトデウス: ビヨンドクロノス)』 プラットフォーム:Oculus Quest / Oculus Rift ※他デバイス/プラットフォームについては追ってお知らせ。 発売日:2020年12月4日発売 発売元:MyDearest 価格:3628円[税抜](3990円[税込]) パッケージ版:なし ダウンロード版:あり 『ALTDEUS: Beyond Chronos(アルトデウス: ビヨンドクロノス)』公式サイト 変化を示すことでより悩ませる選択肢 “人生は選択の連続だ”という有名な言葉があるけれど、ゲームも選択の連続だろう。と言っても、何も「はい」と「いいえ」の二択や、表示される選択肢の中から行動を決めることだけが、ゲームの選択じゃない。たとえば、アクションゲームで敵を倒すかかわすかといった行動だって選択のひとつだ。 これまで多くのゲームでさまざまな選択をしてきたが、重要な局面の選択肢はコントローラーを置くほど悩ませる。しかし、悩ませるのは選択肢の重さだけじゃなかった。没入感が高ければ、些細な行動のひとつでさえ心に重くのしかかるほど悩ませる。『アルトデウス: BC』をプレイしたとき、改めてそう感じた。 『アルトデウス: BC』は、Oculus QuestやOculus RiftといったVRデバイス用ソフトとして2020年12月4日に発売された新作。2280年の未来を舞台に、未知の生命体であり人類の敵である“メテオラ”による侵略を阻止するために戦っていく、というゲームだ。 公式のジャンル表記は“VRインタラクティブストーリーアクション”。探索や会話が中心の“アドベンチャーパート”と、人型巨大兵器“マキア”を操ってメテオラと戦う“マシンアクションパート”があり、ジャンル表記の通り、ただストーリーを楽しむだけでなく、VRのコントローラーを駆使してマキアを操縦するアクション性も盛り込まれている点が特徴になっている。 本作の開発は、VR専用のミステリーアドベンチャーゲーム『東京クロノス』を開発したMyDearest。『東京クロノス』は、オーソドックスなアドベンチャーゲームをVRに落とし込んだと言える内容で、VRらしい演出のこだわりや、VRでマルチエンディングのアドベンチャーをフルで遊ばせるという点で、今後への期待を感じさせる1本だった。 それから約2年後に発売された『アルトデウス: BC』は、まさに『東京クロノス』の進化系。『東京クロノス』譲りのVRらしいユーザーインターフェースをベースに、会話の要所要所に表示される選択肢では、選んだ結果によって隠しパラメーターがどのように変化するかが表示され、明らかに物語に大きな変化を生み出すことを感じさせるようになっている。 “決断補助システム リブラ(LIBRA)”と名付けられたこの選択肢のシステムでは、選んだ結果によって、組織や周囲の仲間からの信頼度が上下するだけでなく、主人公=プレイヤーが決断できる人物か迷いやすい人物か、といったパーソナリティーまで決まるようになっている。すなわち、プレイヤーの迷いや決断が、主人公の性格形成にも影響するというわけだ。 しかも、このリブラでは選択肢単体でのパラメーターの上下は示されるものの、それまで積み重ねた選択結果による現在のパラメーターは確認できない。これがまた、プレイヤーを悩ませる。現在のプレイヤーの信頼度はどれくらいなのか、その選択肢の結果でどこまで影響が出るのかがわからないため、ひとつひとつの些細な選択も重要に感じさせる作りになっているわけだ。 やさしいように見せかけてじつはもっと悩ませるシステムなのだが、これがゲームならではの要素と言える仕様で、アドベンチャーゲーム好きはきっと内心喜んでいるだろう。少なくとも、筆者は「さっきああやって答えたし、今回は……」と悩んでいる瞬間が最高に楽しかった。 巨大ロボットの操縦&3D空間のライブで体感するVRならではの演出 また、本作の大きな特徴が“マシンアクションパート”での行動。プレイヤーはマキアを操縦してメテオラと敵対するのだが、このパートもストーリーに絡む重要な要素になっている。どう絡んでくるのか具体的な説明は避けるが、プレイをしてもらえば「なるほど!」と感じる内容になっているので、そのあたりは遊んでみてのお楽しみ。 マキアの操縦パートはロボットものが大好きな人にはたまらない構成。VRヘッドセットでコックピットの視点を生み出し、VRコントローラーで巨大ロボットを操縦している感覚を味わえるという、ロボット好きな人にこそ遊んでほしい内容になっている。ちなみに、こんなことを書きながら、筆者はあまりロボットアニメに親しんでこなかったため、巨大ロボの操縦に憧れた経験はない。そんな憧れのない筆者が、初めてマキアを操縦したときは「おおおおお!」と高揚したので、大好きな人たちはもっと盛り上がるのではないだろうか。なお、声優の今井麻美さんは実況プレイで絶叫してた(詳しくは下の動画で)。 マキアを操る“マシンアクションパート”を始め、本作はVRならではの演出がとてもいい。キャラクターとのやり取りに感じる距離感や、メテオラの巨大さの表現など、通常のテレビ画面では表現できない迫力が味わえる。劇中に出てくる“電脳の歌姫 アーク ノア”のライブシーンも、未来のライブを想像させるVRだからこそできる演出になっている。 そして、このVRならではの臨場感が、本作への感情移入をさらに促進させるものになっている。主人公と一体になってマキアを操縦しているとき、さまざまなキャラクターとのやり取りの中で選択肢を選ぶ必要があるとき。その先の展開の予想がついていなくても、選択肢のひとつひとつが重い決断に感じさせるほどに悩ませる。もちろん選んだ結果によって変化するパラメーターが表示されるという点も、悩ませる点に拍車をかけているだろう。 だが、それ以前にVRの世界に入り込んだ状態で選ぶ決断は非常に重い。しかもそれが、ただ選択肢を選ぶだけでなく、みずからの能動的な行動によって物語に影響を与えたときは、「本当にこれでよかったのか」と過去の行動を振り返りたくなる。本作は、まさにそんな選択の連続。ただ特定の会話の選択肢だけでなく、行動の積み重ねが世界を変えていき、その結果がVRの世界として眼前に広がる。 この興奮や戸惑い、驚きなどが味わえるのはVRならでは。また、ストーリーの衝撃もさることながら、『東京クロノス』から続く、オープニングやスタッフロールの演出も要注目。新時代の演出が味わえるのは、本当に観ていて楽しい。この臨場感に興味を持った人は、ぜひ体験を! ちなみに、このゲームの終盤ではグッと来る展開が連続するのだが、筆者はVRを外して涙を拭いてVRを装着してまた泣いて……とくり返すことになった。VRのゲームでボロ泣きしたのはこのゲームが初めてなのだが、みんなどうやって涙を拭いてるんだ? なお、『東京クロノス』を遊んでいなくても100%楽しめることは間違いないが、『東京クロノス』を遊んでいると120%楽しめるようになるのも間違いない。もし『東京クロノス』が気になっているものの未プレイの方は、前作からプレイするのをオススメしたい。 もしVRデバイスを持っていない方は、この年始に『アルトデウス: BC』とともに購入してみては。きっといままでにないゲーム体験ができるはずだ。 『アルトデウス: BC』関連記事 『アルトデウス: BC』クリエイターインタビュー。“クロノス”を超える究極のVR体験を目指して https://www.famitsu.com/news/202012/10210924.html 『アルトデウス: BC』発売前日イベントで石川由依さん、花守ゆみりさんらが作品への想いを語る。日本発の最新VRアドベンチャーゲームがリリース https://www.famitsu.com/news/202012/10210957.html 『ダンガンロンパ』、『東京クロノス』、『グノーシア』の開発者が語る。「アドベンチャーゲームは滅ぶのか?」緊急座談会 https://www.famitsu.com/news/201912/19189115.html
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