Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

コロナ禍での初産、パパになった実感は? 感染防止で出産立ち会えず「置いてけぼりに…」

配信

  • この記事についてツイート
  • この記事についてシェア
47NEWS

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、ある夫婦が経験した初産は想定外の連続だった。感染リスクが障壁となり、立ち会い出産は禁止に。パパの産後の面会はオンラインに制限された。父親となった大学教員吉川遼(よしかわ・りょう)さん(31)は「何もかもが不安だった」と打ち明ける。コロナ禍の初産を、夫の目線から追った。(共同通信=坂野一郎)  ▽1人だけ  6月12日未明、名古屋市の産院。小学校教諭の妻千佳(ちか)さん(29)が陣痛で顔をゆがめ、歯を食いしばりながら分娩室(ぶんべんしつ)へ運ばれていく。この日、強い痛みが出てからは嘔吐(おうと)を何度も繰り返し、遼さんはただ腰をさすり続けることしかできなかった。  「苦しそうだ…」。何か力になりたかったが、感染防止のため、出産には立ち会えない。妊娠中、励ましてくれた千佳さんの母や姉は建物の中にすら入れなかった。「この先は千佳に頑張ってもらうしかない」。無力感を感じながらも、妻を分娩室に送り出した。

 1時間半後、無事に長男の圭(けい)ちゃんが誕生した。「顔を見たら、痛さが吹き飛んだよ」。わが子の傍らで、千佳さんが笑う。苦しい初産を終えた妻とは15分だけ面会が許され、感動を分かち合った。しかしそれもつかの間。ピピピッ、ピピピッ。タイマーの無機質な電子音が鳴った。「面会終了です」  ▽一変  昨秋に妊娠が分かり、夫婦で胎児のエコー画像を見たときは自然と涙が出た。「自分が父親になる」。その実感はすぐには湧かなかったが、出産までの流れや、立ち会い出産の資料を読むと、期待で胸が膨らんだ。健診も夫婦で通い、全ては順調だった。  年明けから状況は一変。新型コロナウイルスは世界中にまん延し、瞬く間に日本にも及んだ。夕食時、テレビが妊婦が重症化する可能性や著名人の訃報を伝えると、箸が止まり、食卓に緊張が走った。コロナウイルスが夫婦の話題にならない日はなかった。  「絶対に感染できない」。その思いとは裏腹に、近所の病院では集団感染が発生し、恐怖感は日に日に増していく。遼さんは大学教員で、千佳さんも小学校教諭。多くの学生や児童と触れあう職業だ。仕事以外にどれだけ外出を控え、手を洗っても、不安を拭うことはできなかった。

【関連記事】

最終更新:
47NEWS