日銀・黒田総裁会見6月20日(全文1)日本の景気は緩やかに拡大
米欧が利下げに踏み切った場合、追随する考えはあるのか
時事通信社:時事通信社の【カワムラ 00:13:57】です。よろしくお願いします。今も出ましたけれども、アメリカのFEDが昨日の会合で、政策金利については維持をしましたが、将来への追加、利下げについて示唆をするような発言をされました。また、ECBも利下げの検討を表明したわけでして、主要国の中央銀行で緩和姿勢が強まってきたということはいえるんだろうと思います。 一方で日銀は今回の決定会合で、金融政策について大規模緩和を維持したわけですけれども、今後、実際に米欧が利下げに踏み切った場合、これに追随をしていくお考えはあるのか、あるいは近い将来こういう緩和に向けた追加策を打つ必要性が増していると黒田総裁がお考えになるかどうか、お願いします。 黒田:ご案内のとおり、日本銀行も含めてどの中央銀行も自国の経済、物価の安定を実現することを目的として、それぞれの置かれた状況に応じて最も適切な政策運営に努めているというふうに思っております。もちろん主要国の金融政策運営が国際金融市場、あるいは世界経済に影響を及ぼすという可能性は十分あるわけでして、その大きさは、またそのときどきの経済情勢とか市場環境によっても異なりうるというふうに思っております。 日本銀行としてはこうした点も注意深く確認しながら、経済・物価・金融情勢を踏まえて、毎回の金融政策決定会合において、適切な金融政策運営を行っていく方針でありまして、その際、物価安定を目標に向けたモメンタムが損なわれるような状況になれば、ちゅうちょなく追加緩和を検討していくことになるというふうに思っております。 時事通信社:もう1点よろしいですか。 黒田:はい。
プラスマイナス0.1%の倍程度という幅を超えることは許容されうるのか
時事通信社:すいません、もう1点よろしいですか。長期金利が本日マイナス0.16%と、2年10カ月ぶりの低水準を付けたわけなんですけれども、現在の金融調節方針ですとプラスマイナス0.1%の倍程度という表現を、総裁されてましたが、このレンジを超えることは、許容されうるのかお考えお願いします。 黒田:ご指摘のように、金融調節方針に関して長期金利の水準については経済、物価情勢に応じて0%程度から上下、ある程度は変動しうることは申し上げてるわけですけど、その変動幅についてもおおむねプラスマイナス0.1%の倍程度というものを念頭に置いてるということも申し上げたわけであります。ただこれはそもそも金利のある程度の変動を許容しているってことは、金利形成の柔軟性を高めるということを通じて強力な金融緩和による市場機能への影響を軽減して、現在の政策枠組みの持続性を強化することが狙いでありまして、何か金利変動の具体的な範囲を、過度に厳格に捉える必要はありませんので、上下にその倍程度という、申し上げているとおりでありまして、ある程度弾力的に対応していくことが適当だというふうに考えております。