日銀・黒田総裁会見6月20日(全文1)日本の景気は緩やかに拡大
日本経済や物価の先行き
住宅投資は横ばい圏内で推移しています。公共投資も高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移しています。この間、労働需給は着実な引き締まりを続けています。また、金融環境については極めて緩和した状態にあります。 先行きについては、わが国経済は当面海外経済の減速の影響を受けるものの、基調としては緩やかな拡大を続けるとみられます。国内需要は極めて緩和的な金融環境や、政府支出による下支えなどを背景に企業・家計の両部門において、所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続する下で増加基調をたどると考えられます。輸出も当面弱めの動きとなるものの、海外経済が総じて見れば緩やかに成長していくことを背景に、基調としては緩やかに増加していくとみられます。 物価面では生鮮食品を除く、消費者物価の前年比は0%台後半となっています。予想物価上昇率は横ばい圏内で推移しています。先行きについては消費者物価の前年比はマクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることや、中長期的な予想物価上昇率が高まることなどを背景に、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられます。 リスク要因としては、米国のマクロ政策運営や、それが国際金融市場に及ぼす影響、保護主義的な動きの帰趨とその影響、それらも含め中国をはじめとする新興国・資源国経済の動向、IT関連材のグローバルな調整の進捗状況、英国のEU離脱交渉の展開やその影響、地政学的リスクなどが挙げられます。こうした海外経済を巡る下振れリスクは大きいと見られ、わが国の企業や家計のマインドに与える影響も注視していく必要があります。 日本銀行は2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続します。マネタリーベースについては生鮮食品を除く、消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続します。 政策金利については海外経済の動向や、消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、少なくとも2020年春ごろまで、現在の極めて低い長短金利の水準を維持することを想定しています。今後とも金融政策運営の観点から、注視すべきリスクの点検を行うとともに、経済・物価・金融情勢を踏まえ、物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行います。以上です。