Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

日本ジャーナリスト会議賞を受賞した赤木雅子さん、自殺した夫の墓前に報告

配信

  • この記事についてツイート
  • この記事についてシェア
HARBOR BUSINESS Online

忘れられかけていた森友事件への関心を呼び起こした

「トッちゃん、こんな賞を頂くことになったよ。これもトッちゃんが命がけで手記(遺書)を遺してくれたからだよ」  夫の墓前で報告しているのは赤木雅子さん(49歳)。トッちゃんとは夫の俊夫さんのことです。財務省近畿財務局の職員で、森友学園との国有地取り引きに関する公文書の改ざんをめぐり命を絶ちました。  雅子さんは今年3月、俊夫さんが死の直前に書き遺した公文書改ざんの実態に迫る手記を公開。同時に、改ざんを指示したと手記で名指しされた佐川宣寿元財務省理財局長と国を提訴し、忘れられかけていた森友事件に世の中の関心を再び呼び起こしました。この功績に対し、日本ジャーナリスト会議賞(JCJ賞)が贈られることが決まりました。

「トッちゃんのためにも、真相を必ず明らかにするからね」

 日本ジャーナリスト会議賞(JCJ賞)は毎年、優れたジャーナリズム活動に贈られるもので、今年は大賞とあわせ5点に贈られます。その一つとして赤木雅子さんが、報道にあたった私(相澤冬樹)とともに受賞するという知らせが9月7日、私たちに届きました。  受賞の知らせから一夜明けた8日、赤木雅子さんは神戸市内の自宅から岡山県内にある夫、俊夫さんの墓地を訪れました。墓石をきれいに整えた後、墓前に受賞を知らせる『大阪日日新聞』の1面記事を掲げながら冒頭の報告を行い、「トッちゃんのためにも、改ざんの真相を必ず明らかにするからね」と改めて誓いました。  赤木さんの元には、受賞を知った知り合いや関係者から早くも続々とお祝いのメッセージが届いています。その一つ、赤木さんを取材したテレビ関係者からは、このようなLINEが届きました。 「これで赤木さんもジャーナリストの仲間入りですね」

夫が亡くなった直後、押しかけてきたマスコミへの恐怖

 それはもちろん親しみを込めたお祝いの意味で伝えてくれたことはよくわかっています。けれども赤木さんには、受賞を機会にマスコミの人たちに訴えたいことがあります。それは「マスコミと遺族の関係」について。2年半前、夫が亡くなった直後の恐怖は今も忘れられないといいます。 「家の周りに群れをなしてマスコミの人たちが集まっているんです。私の気持ちを無視して。それはまさにマスコミの塊でした。夫を亡くしたばかりの私には恐怖でしかなかったんです。だから相澤さんにも最初は不信感と警戒心があって、夫の手記を託して公開しようと思うまでに2年間かかりました。  今はたくさんのマスコミの方に『私は真実が知りたい』という思いを伝えてもらって、とても感謝しています。だからこそ、なぜ最初にマスコミの恐怖を味わわなければならないのか。なんで遺族が弁護士を頼らなあかんのか。そこを訴えたいんです。『ありがとう、サンキュー』じゃ済まされないです」  日本ジャーナリスト会議賞の授賞式は10月10日に行われます。赤木雅子さん自身は出席できませんが、何らかの形で自分のメッセージを伝えたいと考えているとのことです。 <文・写真/相澤冬樹> 【相澤冬樹】 大阪日日新聞論説委員・記者。1987年にNHKに入局、大阪放送局の記者として森友報道に関するスクープを連発。2018年にNHKを退職。著書に『安倍官邸VS.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』、共著書に『私は真実が知りたい 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ?』(ともに文藝春秋)

ハーバー・ビジネス・オンライン

【関連記事】