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コロナ終息後の経済V字回復はあり得ない 危機で顕在化した巨大リスク、求められる処方箋は

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47NEWS

 新型コロナウイルス感染症は終息が見通せず、人々の活動に暗い影を落としている。経済への影響は2008年のリーマン・ショックを超える深刻さとの見方も広がる。安倍晋三首相は「戦後最大の危機」として事業規模で108兆円になる緊急経済対策をまとめ、立て直しを図る。ただ首相が思い描く「V字回復」は考えにくいと危機感を募らせるのは、国際金融論が専門で日銀審議委員を歴任した慶応義塾大学の白井さゆり教授だ。世界経済は、そして日本経済はどこに向かっているのか寄稿してもらった。 * * *  昨年末に中国・武漢で確認された新型コロナウイルス感染症は、年明けには日本を含むアジアに広がり、3月には欧米などにも到達、世界的脅威へと発展した。中国の徹底したヒトの移動と活動の停止で感染拡大は抑えられるとの楽観論は裏切られた。“コロナ危機”が勃発したのである。  今回の危機はまた、中国が、ヒトを通じた世界とのつながりをより深化させていたことを再認識させる契機になった。2010年ごろに世界第2位の経済大国となった中国は、所得上昇も相まって本土からの旅行者数が年間1・4億人、観光支出は30兆円程度に上る。各国の観光産業を潤す世界最大の“観光輸入国”となっていたのだ。

 ■米、最大級の景気後退に突入  各国がまん延を抑えるべく経済・文化・社会活動を縮小・停止したことで、急速な景気後退が始まっている。その大きさと悪化のスピードは、2008年リーマン・ショック時とは比較にならないほど大きくなりそうだ。  2008年10―12月当時の米国の経済成長率は前期比年率で9%ほど下落し1960年代以降で最大の落ち込みとなった。今年4―6月期はそれをはるかに超えて30%前後まで落ち込みそうだ。トランプ米大統領は今回の危機を「戦争」と表現している。  感染症と戦争は、患者数の急増で医療現場が切迫した状態になる点で共通しているものの、経済的な性質はだいぶ異なる。戦争が巨額の軍事支出による需要をつくり需要超過とインフレをもたらす傾向があるのに対し、コロナ危機は需要と供給を同時的、強制的に消滅させるデフレ的な性質をもっているからだ。不足するマスクや医療品など一部価格が高騰しても、全体としてインフレにはなりにくいのだ。

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