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京大合格ランキング 大阪の公立校が急伸のなぜ?

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NIKKEI STYLE

《連載》進学校の素顔 特別編(2) 教育ジャーナリスト・おおたとしまさ

東京大学など最難関大学への進学状況は受験生の親でなくても気になるところ。特別編として、東大・京都大学・国公立大学医学部・総合の4回に分けて進学校の合格者数ランキングを紹介する。大学通信の協力を得て作成したランキングを、教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏に読み解いてもらった。 【ランキングをみる】2010年代前半のランキングでいきなりトップ10に躍り出てたのが…

■東大のランキングを見ているだけではわからない

前回の東大合格者数ランキングと同様に、今回は京大の合格者数ランキングの歴史的変化を読み解く。 進学校の基準として、東大合格者数ランキングが取り沙汰されることが多い。言わずもがなだが、東大は東京にある総合国立大学であるがゆえ、合格者数上位校は首都圏に偏る。しかも首都圏には私立中高一貫校が多いので、上位を私立中高一貫校が占める。それをもって「首都圏の私立中高一貫校は教育レベルが高い」とは言えるはずもない。 関西には京大がある。iPS細胞でノーベル賞を受賞した山中伸弥さんや、ゴリラの研究家として有名な山極寿一総長の存在感もあって、近年京大が人気だ。西日本の進学校の顔ぶれを見るのであれば、東大合格者数ランキングだけではなく、京大合格者数ランキングも見るべきであろう。 河合塾の国公立大2020年度入試難易予想一覧では、東大の偏差値は理科3類(医学部系)で72.5。それ以外はすべて67.5。京大は医学部が72.5。それ以外の学部学科の偏差値を定員に関係なく単純に平均すると65.2。

■1990年代から2010年代前半まで首位は洛南

まず、1990年代前半、2000年代前半、2010年代前半の5年平均の合格者数ランキングを見てみよう。 首位は一貫して、京大のお膝元にある洛南。1学年の人数が450人を超える大規模私立中高一貫校である。約1200年前に弘法大師・空海が興した私立学校「綜芸種智院(しゅげいしゅちいん)」にまでその歴史を遡ることができる。2000年前半までは同じく京大のお膝元にある洛星が次につけていた。こちらはカトリックの学校だ。 2010年代になると2位、3位を奈良勢が占めた。西大和学園と東大寺学園である。数年前、人口当たりの東大・京大の総合格者数で47都道府県をランキングするというテレビ企画があったが、その首位が奈良県だった。西大和学園と東大寺学園は京大にも東大にもバランス良く合格者数を出しているのが特徴だ。その2校だけで、たとえば首都圏の千葉県の全高校を上回る東大・京大合格者数を稼いでいるのである。それでいて奈良県の人口は約135万人と千葉県の4分の1以下なので、人口当たりのランキングでは全国トップになるのだ。両校とも県外からの通学者が多いというからくりもある。 関西の進学校と言えば筆頭にあげられるのは灘だが、東大志向が強いため(その理由は前回記事で記述)、京大のランキングではさほど上位には来ない。代わりに上位常連なのが、灘と同じく兵庫県の甲陽学院だ。灘も甲陽学院も、酒造会社がスポンサーになってつくられた学校だ。灘が「菊正宗」と「白鶴」「櫻正宗」、甲陽学院が「白鹿」だ。自由かつ合理的な商人文化が両校の根底にある。 2010年代前半のランキングでいきなりトップ10に躍り出ているのが京都市立堀川だ。1999年に「探究科」という専門学科を設けるなどの学校改革を断行した。探究科1期生を含む卒業生約240人のうち106人が国公立大学に合格。前年6人からの大躍進で「堀川の奇跡」と呼ばれた。 いまでこそ一般的に認知されている探究学習の先駆けであり、その成果が表れたのだととらえられるが、同時にこんな仕組みもある。堀川の探究科は専門学科で、学区に関係なく京都府全域の中学校から優秀な生徒を集めることができたのだ。以後、学区の拡大は公立高校復活の切り札として全国で利用されるようになる。

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