お祭りやフェスなど 物価高でも好調「トキ消費」【WBS】
8日に発表された家計調査で、6月の消費支出は1年前に比べて、4.2%減りました。これで4カ月連続のマイナスです。消費が減った背景にあるのが物価高に追いつかない賃金です。物価変動を加味した実質賃金は、1.6%減っていて15カ月連続でマイナスが続いています。一方で、足下ではこの夏、その時・その場でしか味わえない盛り上がりを楽しむ「トキ」消費が好調となっています。 東京・杉並区で8日まで開かれた阿佐谷七夕まつり。コロナで開催を中止していて、今年4年ぶりに開かれました。名物のアーケードには七夕飾りが吊るされ、ヨーヨー釣りやかき氷店など出店を目当てに多くの客が訪れました。名物のパスタパエリアは、一度におよそ40人分が作れる巨大な鍋を使い、8日だけで最低10回、400人分以上を作る予定だといいます。 「すごい盛況です。例年の2倍まではいかないですけれど、1.5倍はいったかな。ずっと待っていたと言ってくれる人が多かったので、すごくうれしかったです」(パスタパエリアを販売する赤岩彩良さん) 先月、4年ぶりに開かれた隅田川花火大会では、過去最多のおよそ103万5000人の観客が訪れるなど、お祭りや花火大会の人手は、コロナ前以上となっています。 8日、発表された景気ウォッチャー調査でも、街角の景況感は2カ月ぶりに改善。同調査によれば、「ほとんどの地区で祭りが再開され、例年にないほど祭り関連の客が増えてきている」(北関東の衣料品専門店)などの声が上がっています。
「トキ」消費が好調
アフターコロナの今、消費スタイルが物品を購入する「モノ」から、旅行や習い事などの「コト」、さらにそのときその場でしか味わえない盛り上がりを楽しむ「トキ」を重視する商品に移ってきているといいます。 この夏、トキ消費の現場で特に盛り上がっているのが音楽フェスです。先週末と今週末の5日間にわたり開催中の「ロックインジャパン フェスティバル2023」は26万5000人分のチケットが一般発売を前に完売したといいます。 このフェスに参加した大学生の有田迅さんに話を聞くと「後ろの方が見えなくなるぐらいまで人がいた。みんな声も出すことができたので、すごい盛り上がっていました」といいます。 チケット代と飲食代などでこの日2万円を使った有田さん。さらに今月末は山梨県でのフェスに2泊3日で参加する予定もあり、交通費や宿泊費も含め予算は5万円です。 「必死にアルバイトするしかないと思います。コロナ禍だとオンライン授業で友達と会う時間もすごく少なかった。記憶に残るような、いつまでも話し続けられるような思い出をつくれば、一緒なくならない」(有田さん) フェスで盛り上がるのは、ステージだけではありません。長い行列ができているのは、会場内の飲食店。今年「ロックインジャパン フェスティバル2023」には去年より11店舗多い79店舗が出店しています。 千葉・富里市で「アロハ ダイニングNo.6」を運営する企業「千葉うまかっ部屋」も会場に出店しています。凍らせた千葉県産のイチゴやスイカを使った冷たいスイーツや、ご当地ラーメンを冷たくアレンジした冷し担々麺など20種類を販売しています。 「ロックインジャパン フェスティバルはお客様の動員が多いですし、今回はもうマックスで入っているので、食数も出ていますし、お客さんも多数来ていただいている」(千葉うまかっ部屋の香取大輝さん) 会場では1日におよそ2000食を販売。多いときには200人近くの行列ができたといいます。 「盛り上がっています。お客さんも楽しんでもらっています。音楽以外にも食を楽しみに来ていただいてるお客さんが多数いらっしゃって、食も楽しんでいただけると思う」(香取さん) フジロックフェスティバルはチケット代2万3000円ですが、11万4000人が来場。チケットの販売を手がけるぴあによると、高額なチケットでもすぐに売り切れる傾向にあるといいます。 「1割程度ぐらいチケット代が上がっている。お客さんの入りに関しては引き続き好調。コロナのときに我慢してた部分もあり、エンターテインメントの力を非常に感じます」(「ぴあ」ライブ・チケッティング事業局の清水智宏局長) ※ワールドビジネスサテライト