「捕手へのノックを前の方に打ってしまいました」興南の春夏連覇のエース、母校のコーチとして緊張の〝甲子園デビュー〟
◆第106回全国高校野球選手権1回戦 大阪桐蔭5―0興南(8日・甲子園) 2010年に春夏連覇を果たしたサウスポーが甲子園に戻ってきた。興南の島袋洋奨コーチはノッカーで指導者としての「甲子園デビュー」を果たした。「緊張しました。キャッチャーへのノックはトスを前に上げすぎて、前の方に打ってしまいました」。高校時代は甲子園で13試合もマウンドに立ち、慣れ親しんだ甲子園だが、指導者としては初めての大舞台で勝手が違うようだ。 ■【写真】試合前練習でボールを投げる興南の島袋コーチ 興南から中大、そしてソフトバンクと経験を積み、2019年に現役引退。会社員を経て母校のコーチに就任して4年目だ。ソフトバンク時代、2軍戦で甲子園のマウンドに立ったことはあるが、13年前と同じ母校のユニホームを着て甲子園を訪れるのは初めて。「やっぱり気持ちが違いますね」。ずっとエースだった高校時代は入ったことのない三塁側アルプススタンドから観戦した。「当時とダブるものもありますし、この舞台で試合をする選手たちがうらやましいっていう気持ちもあります。喜びをかみしめながらプレーしてほしいです」と晴れの舞台に立った選手を見つめた。 結果は強豪の大阪桐蔭に力負けで初戦敗退に終わった。指導してきた左腕田崎颯士(3年)の投球に対しては「ストライク先行ができず、自分優位の組み立てができなかった。甲子園常連の強豪で相手の圧もあったと思いますが、早めに追い込んで打ち取ることが鍵。これだけ注目されている相手と試合ができたのはすごく大きな経験になったと思います」と自らも糧としてきた甲子園の経験を今後に生かしてほしいと願う。 指導者として甲子園デビューを果たした島袋コーチはまだ31歳。指導者としてはまだまだこれからだ。「相手の行動の早さとか、スイングスピードの速さとか、プレー一つ一つ、いいところはどんどん吸収していないと。全国との差を縮めるために持ち帰って取り組んでいきたい。選手と一緒に頑張って、レベルアップした興南として帰ってきたい」。後輩になる選手と一緒に指導者として成長していく。 (前田泰子)
西日本新聞社