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[寄稿]たった100日で世論が変わった理由

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ハンギョレ新聞

 総選挙で与党が180議席の巨大権力を得てからわずか100日あまり、世論が急変している。リアルメーターの調査では、大統領の国政遂行に対する否定的評価が肯定的評価を大きく上回り、韓国ギャラップの調査でも、肯定的評価は30%台にまで落ちている。政党支持率でも未来統合党が共に民主党を追い越すか、猛追している。  支持率の数値よりも重要な質の変化がある。流動的な無党派層と20代、50代だけでなく、与党の核となる支持基盤だった30代、40代と若い女性層が大挙離脱したのだ。これは「チョ・グク事態」が最高潮に達した瞬間にも起きなかった現象だ。このすべてが、2016年の弾劾政局後初の事態だ。  いったい何が起こったのか。不動産価格の暴騰、パク・ウォンスン市長事件などの「悪材料」が続いたためだという説明がある。多数の議席ばかりを頼って野党との協治を拒否するなど、独走だという指摘もある。すべて一理ある。しかし、十分ではない。不動産価格の暴騰は深刻な問題だが、総選挙後に生じた現象ではない。与野党の協治もいいが、かつては協治を行わなかったからといって、支持率が急落することはなかった。それでは、なぜ今、世論は揺れているのか。  二つの力がかみ合って生まれた結果だと思う。一つは与党の変数だ。巨大な権力を握っていながら、民生向上に専念せず、熱烈な支持層の方ばかりを向いて国民の上に君臨しているという印象を与えている。もう一つは野党の変数だ。保守野党は、議題、言説、闘争方式を変え、支持層の拡大を試みている。この二つの光景が並んで広がる空間において、民意は大きく揺れている。与党は現実から目をそむけたり、自己防衛ばかりに走ったりするのではなく、何が間違っているのかを問い、傾聴しなければならない。  まず、関心度と同意基盤の狭い政策が過度に浮かびあがっている。例えば「韓国版ニューディール」は幅広い支持を得る潜在力があるが、デジタル・ニューディールなどの各種産業育成策は多くの国民の利害にかかわる関心事ではない。検察改革政策は、もともとの認知度は高いが、支持層は限定的な議題だ。メディアリサーチやRnサーチなどによる最近の調査でも、法務部長官の行動を肯定的にとらえる回答者はおよそ30%だ。開かれたウリ党も、2004年の総選挙に勝利して以降は政治改革に没頭し、熱烈な支持層を除いてすべて失っている。  行政首都の移転や親日派の国立墓地からの排除のように、当面の民生危機とは距離のある問題が突出していることも支持率の下落を加速させている。このような政策はきわめて論争的であるばかりでなく、より大きな問題は、コロナ危機と不動産問題で民意が厳しい今、ずれた論議が与党から提起され続けているということだ。仕事を失った、住宅価格が高すぎる、人々はこう叫んでいるのに、為政者たちは首都を移そうとか、墓を移そうとか言っている。国民は尊重されていないという憤りを抱くようになるのだ。  もちろん政府・与党はいくつもの重要な民生・福祉改革案を推進している。しかし問題は、新たな制度が定着して恩恵を受けられるようになるまでには、かなりの時間がかかるということだ。例えば、病気の時に休めるようにする傷病手当制を導入するため、政府は2021年に委託研究を、2022年に低所得層を対象とするモデル事業を実施する計画であり、全国民雇用保険制は2025年に完成すると見込んでいる。  このような政策は非常に重要だが、多くの国民がこれらの政策を今は実感できていない。現政権が政策的努力を傾け、その政治的結実は次期政権が手にする可能性が高いのだ。そのため、不安定な国民階層の当面する状況に、より積極的に対応しつつ、政治的支持も拡大できる方策を考えなければならない。  公共医療の強化がその一例だ。韓国の公共病床の数は全体の10%に過ぎない。オーストラリアは69.5%、フランスは62.5%、ドイツは40.6%だ。韓国ギャラップの6月の調査によると、医療サービスに対する公的責任と国公立医療機関の拡大は、実に94%の回答者が支持している。コロナが再び拡散している今、病床がないという恐ろしいニュースが聞こえてくる。このような時に政府が公共医療の拡大を強力に推進すれば、国民の大きな反響を得られるのではないか。  米国の政治学者のE.E.シャットシュナイダーは「新たな政策が新たな政治を生み出す」という有名な命題を残した。政策は古い問題に対する処方であるばかりでなく、新たな政治を切り開くための戦略でもある。総選挙前に与党はコロナ対応という国民的関心事に集中し、大きな勝利を収めた。総選挙後にも、国民の暮らしに密着する政策で心をつかんでこそ、より長期的な改革も実現できるはずだ。 シン・ジヌク|中央大学社会学科教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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