「RMK」や「スリー」の立役者、石橋寧が化粧品業界に提言 Vol.1 「日本のコスメの存在感がなくなっている!」
化粧品市場はすっかり活況を取り戻したが、気が付けば欧州のハイブランドと韓国コスメのパワーに押され、「J ビューティ」と呼ばれていた頃の勢いはすっかり影を潜めている。その原因はいったい?これからどうしたらいい?そこで、ビューティ・ジャーナリストの木津由美子が数々の百貨店ブランドを立ち上げては成功へと導いてきた石橋寧氏に、日本の化粧品業界に対して思うことを5回にわたって聞く。 【画像】「RMK」や「スリー」の立役者、石橋寧が化粧品業界に提言 Vol.1 「日本のコスメの存在感がなくなっている!」
――:ズバリ、日本の化粧品業界って大丈夫でしょうか?不安しか感じないんですが。
石橋寧(以下、石橋):昨年、タイのバンコクで化粧品売り場をいろいろと見て回ったんだけど、韓国コスメがすごくいい場所を取っていたんだよね。現在のメインどころは韓国コスメと、「グッチ ビューティ(GUCCI BEAUTY)」や「エルメス(HERMES)」などの欧州ラグジュアリー。日本のコスメブランドはほとんど隅に追いやられていた。それはロンドンでも同じ。ハロッズを見ても日本からの新規参入は見当たらず、相変わらず資生堂グループの「シセイドウ(SHISEIDO)」と「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)、花王・カネボウグループの「スック(SUQQU)」と「センサイ(SENSAI)」のみ。実はコロナ前の2019年ごろ、ハロッズのバイヤーから「スリー(THREE)を入れたい」という打診があったんです。化粧品売り場を改装して2倍くらいに拡張する、そこで「J ビューティ」を強化したい、と。代理店を通じて交渉していたんだけれど、当時はまだEU離脱が決定していなかった。国の方針が決まらないと具体的な条件交渉に入れないから少し待とうと話しているうちにパンデミックになり、ハロッズの改装も遅れ……昨年行ったら、その場所に「グッチ ビューティ」が入ってましたね。
――:「スリー」の進出は引き継がれていないんですね。なぜ、こんなに全てが停滞しているのでしょう?