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バングラデシュ独立戦争時の「レイプ収容所」被害女性ら40年後に証言 ドキュメンタリー

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The Guardian

【記者:Lucy Lamble】  1971年、当時の西パキスタン(現パキスタン)からバングラデシュが独立を勝ち取った9か月に及ぶ戦争の間に、4人の姉妹(アミナ、マレカ、ムカリサ、ブディ・ベグムさん)はパキスタン兵と地元の協力者によって拉致された。4人は、「レイプ収容所」に拘禁され、20万人以上の女性と共に2か月半をそこで過ごした。 「あの部屋で、私たち女性22人は、まるで死体のように横たわっていた」と話すのはマレカさんだ。姉のブディさんは「痛みに耐え切れず」、解放される前に亡くなった。  拉致した男たちから逃れようと水の中でしゃがんでいたというムカリサさんは、あれから40年以上たった今、残虐行為を目撃した現場をリサ・ガジ監督に明らかにした。兵士たちは行く先々に女性たちを連れ回し、自分たちの身を守るために「人間の盾」としても利用していたという。  ガジ監督によるドキュメンタリー映画『Rising Silence(「高まる沈黙」の意)』は英ロンドンで今月上映され、賞を獲得。現在も存命している数少ない女性の何人かからの証言を記録した同作品には、この4人姉妹の話も収められている。撮影後に亡くなった女性も複数いる。  バングラデシュ系英国人の女優で脚本家でもあるガジ監督が「ビランゴナ」の女性たちの話を初めて聞いたのは10代のときだった。女性たちの話は、歴史の教科書にもどういうわけか記載されていなかったが、かつて独立を求めて戦った父親から、首都ダッカに向かう何台ものトラックの荷台に、何百人という女性たちが背中合わせに立っているのを見たという話を聞き、この女性たちのことを調べてみようと思い立った。  女性たちは、20世紀の戦争でレイプが「武器」とされていたことが記録された初の事例だった。  女性たちは解放され(ガジさんの父親が目撃したのはこのとき)、「バングラデシュ建国の父」ムジブル・ラーマン初代大統領から戦争のヒロインという意味の「ビランゴナ」(「勇敢な女性」の意)という敬称を授与された。ラーマン大統領の命令で、家族に引き取ってもらえなかった女性たちのために、職業訓練を兼ねたリハビリテーション施設も設立された。  ラーマン氏は首相を務めていた1975年に暗殺された。その後、バングラデシュの政情は激変し、リハビリ施設は閉鎖。ビランゴナたちの試練を世間が知ることはなくなり、以来、女性たちは何十年にもわたり、辱めや孤立、差別に耐え続け、そうした状況は次世代にも影響した。  ガジ監督は、歴史に残る性的暴力をなかったことにすれば、同じ問題はまた起こると主張。「サバイバー(過酷な状況を生き延びた人々)の話を私たちは傾聴するべきだ」と訴える。 「彼女たちの経験談を、どこか遠い場所で50年近く昔に起きた忘れられた戦争での一度きりの出来事だと一蹴するのは簡単だが、問題は、武力衝突の際に行われる性的暴力とレイプのパターンが今でも変わっていないことだ」と、ガジ監督はミャンマーや南スーダンでの事例に触れた。  一方でガジ監督は、このドキュメンタリーはレイプについての作品ではないと強調する。この作品で描いているのは、「肉体的にも感情的にも残忍な虐待を受け、立ち直った女性の強さ」と、「生き延びようとする女性たちの意思や、レイプされたことを罪と見なす風潮を拒み、偏見に立ち向かった女性たちの不屈の精神」だ。  バングラデシュ政府は、建国に対するビランゴナの女性たちの貢献を称えて、2015年から彼女たちに年金を支給している。【翻訳編集】AFPBB News 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

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