旧文通費改革、年内の法改正へ調整も衆参で温度差 「使途の範囲」が課題に
政治資金規正法の再改正とは別に、調査研究広報滞在費(旧文通費)改革に向けた歳費法改正の実現も臨時国会の焦点だ。衆参両院に設置された与野党協議会は論点を①使途の範囲②使途公開③残金返納-などに絞り込んだ。②と③は、与野党の合意形成がおおむね図られており、年内にも使途公開と残金返納を明記する歳費法改正を行う方向で調整している。 ①の使途の範囲については年内に詳細を詰めるのは困難な情勢だ。選挙区と比例代表のいずれも活動範囲が衆院よりはるかに広い参院側が慎重に見極めたい考えを示している。秘書の人件費や事務所経費などの使途を認めるのかが議論の中心になるとみられる。 立憲民主党出身の参院副議長を務めた郡司彰氏は11月22日の参院の意見聴取で「使途は広い方がいい」と提起し「短兵急に結論を出さない方がいい」とくぎを刺した。同27日の参院の与野党協議でも、衆参で合わせる事項と参院特有の事項を整理すべきだとの意見が出た。 与野党で浮上しているのは、年内に歳費法を改正した上で、使途の範囲の詳細は来年前半の通常国会で詰め、夏に施行する案だ。使途公開や残金返納に関しても、インターネット上での公開の是非や未使用分の繰り越しの可否など検討課題があり、これらも含めて議論する。自民党の参院幹部は「少し遅くなるが改革は実現可能だ」と語る。 旧文通費は国会議員に月額100万円支給され、領収書不要で幅広い使途が認められていることから国会議員の「第2の財布」とも呼ばれる。日本維新の会が使途公開による透明性確保を訴えてきた。自民は大敗した先の衆院選を踏まえ、重い腰を上げた。(永井大輔)