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ジブリへと続いた『母をたずねて三千里』 「母の日」に見たい高畑&宮崎コンビ作品

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マグミクス

スタジオジブリへと受け継がれた冒険談

 街から街へと巡業して回るペッピーノ一座ですが、これは脚本家の深沢一夫氏がもともとは人形劇団の劇団員を務めていた体験から生まれたものです。深沢氏はアイヌ神話をベースにした人形劇『チキサニの上に太陽』のシナリオを執筆し、これを原作にして東映動画の名作アニメ『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968年)が生まれています。  こうして振り返ってみると、『ホルスの大冒険』のヒルダを源流にし、『母をたずねて三千里』のフィオリーナ、『未来少年コナン』のラナ、さらには『天空の城ラピュタ』(1986年)のシータ……と宮崎監督好みなヒロイン像が受け継がれてきたことが感じられます。少年がいちばんの宝物(母親)を探す旅に出ることで成長を遂げる『母をたずねて三千里』は、スタジオジブリが得意とした冒険物語の原型のひとつに数えることができそうです。  大人になったマルコが登場する劇場版『MARCO 母をたずねて三千里』(1999年)もDVD化されていますが、南米音楽を取り入れた主題歌「草原のマルコ」が流れるTVシリーズ(全52話)、もしくはTVシリーズの総集編『世界名作劇場 母をたずねて三千里』を個人的にはおススメします。

高畑&宮崎コンビとは対照的な「母親」像

 高畑&宮崎コンビ作『母をたずねて三千里』では「母親」は絶対視される存在として描かれていますが、それとは対照的な「母親」像を描いたのが富野由悠季監督の『機動戦士ガンダム』(テレビ朝日系)です。1979年にTV放映された『機動戦士ガンダム』の第13話「再会、母よ」では、敵対するジオン軍と日々戦うアムロ・レイに対し、久々に再会した母カマリアは「こんなふうに育てた覚えはない」「なんて情けない子だろう」と冷たい言葉を浴びせます。故郷だけでなく、肉親も失ったアムロの孤独感を印象づけたエピソードでした。  松竹系で全国公開された劇場版『機動戦士ガンダム』(1981年)では、母カマリアの声を松竹の看板映画「男はつらいよ」シリーズでおなじみだった倍賞千恵子さんが演じています。アムロの人間的葛藤と成長を描く上で、カマリアの存在が重要視されていたことがうかがえます。実の母親との精神的なつながりが切れてしまったアムロは、ジオン軍の猛将ランバラルの内縁の妻・ハモンに気に入られます。富野監督は「母親」という存在を絶対視、聖女化することなく、ひとりの「女」として見ていたのではないでしょうか。  ちなみに「母の日」に贈るカーネーションですが、色によって花言葉は大きく変わります。赤いカーネーションは「母への愛」ですが、黄色いカーネーションは「軽蔑」を意味しています。アニメ作品で描かれる「母親」像も、監督によってずいぶんと異なるようです。うっかり、間違った色のカーネーションを贈らないようにしたいものです。

長野辰次

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