勉強している人をバカにする「残念な職場」を変えるためにできること・ベスト4
「あなたの職場では、学ぶことがバカにされていませんか?」 そう語るのは、これまでに400以上の企業や自治体等で組織変革の支援をしてきた沢渡あまねさん。その活動のなかで、「人が辞めていく職場」に共通する時代遅れな文化や慣習があると気づきました。 それを指摘したのが、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』。社員、取引先、お客様をうんざりさせる「時代遅れな文化」を指摘し、現場から変えていく具体策を紹介。「まさにうちの会社のことだ!!」「これって、おかしいことだったの!?」と、多数の反響があり話題に。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「勉強や読書をしない職場」の問題点について指摘します。 ● 勉強することが「カッコ悪い」と言われる組織 学習機会の格差は、能力の格差ひいては稼ぐ力の格差にもつながる。業務での経験や組織の中の体験だけでは、学習の種類と幅に限界がある。その意味でも外部研修の受講は合理性がある。 ところが世の中には外部研修どころか、そもそも社員が勉強をする文化がない組織もある。 「勉強をすることがカッコ悪い」 「勉強をしていると“意識高い”と揶揄される」 「勉強をしていると言うと“余裕があっていいね”と皮肉を言われる」 筆者はこのような声を現場のビジネスパーソンから聞くことがある。勉強は受験勉強まででもうたくさん。目先の仕事が忙しすぎて、とにかく余裕がない。勉強なんてとても……。そんな気持ちの人もいるだろう。 そういえば筆者が小学校・中学校の頃は、一生懸命勉強している人が「ガリ勉」と揶揄される風潮が少なからずあった。勉強がカッコ悪いと揶揄する人たちは、そのノリを社会人になっても引きずっているのかもしれない。 ● 「本」さえ読まない大人たち 「皆、本を読まないんです」 このような声も少なからず聞く。勉強どころか本を読むことさえしないビジネスパーソンも多い。 筆者は企業のマネージャーや担当者から組織の課題についての相談を受けた際、解決の参考になりそうな本を「皆さんで読んで考えてください」と紹介することがある。ところが「当社には本を読む習慣がない」などの理由で難色を示されることがある。なんとも切ないし情けない。「では、あなたや管理職だけでも」と伝えても、「いや、時間がとれなくて……」と言う。 「日本人は本を読まない」と聞くことが増えた。株式会社壺中天が2023年10月に20代以上のビジネスパーソン528人に実施した「大人の読書習慣実態調査」によると、「月に1冊も本を読まない人」は42.4%もいた。 このままでは日本人の知識レベルは低下する。読解力の低下はもちろん、新たな知識を吸収する習慣、問題意識を持つ習慣、考える習慣も養われない。ますます現状維持の体質が強くなり、停滞と衰退が進む。筆者はもの書きの立場としても看過できない。 勉強や読書は良いことであり楽しいことである。その空気を創っていくための方法を示す。