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コロナ感染者が謝罪、日本だけ? 「悪者認定」がもたらす致命的問題

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 新型コロナウイルスに感染した有名人に対するバッシングがSNSで繰り返されている。感染者を責める対象は、有名人に限らない。人をたたき、「謝罪」を求める強い衝動はどこから生まれるのか。社会心理学が専門の三浦麻子・大阪大学大学院教授は、日本は他国と比較して、感染は「本人のせい」と捉える傾向が強いという。感染者を責めることは、道徳的問題にとどまらず、致命的な結果を招く恐れがあるとも話す。三浦さんに昨今の風潮を読み解いてもらった。  * * *  新型コロナウイルスに感染した人たちに謝罪を求めたくなることがあるかもしれません。しかし、そんな気持ちになったときは、是非、自分の心にブレーキをかけてください。 ---  ▽にんげんだもの  社会心理学の様々な知見を踏まえて考えると、感染者(正確に言えば「感染が確認された人」)に謝罪を求めたり、激しい非難を浴びせたりといった行為に走る人が少なからず存在する。これは不可解な現象ではない。筆者はよく「にんげんだもの」という言葉で説明するのだが、時にまったく合理的ではないことを、人間は平気でやらかしてしまうことがある。

 ▽被害者を非難する心のしくみ  感染者のように本来「被害者」のはずの人を過剰に責める行為は、新型コロナウイルス禍でなくとも頻繁に生じている。通り魔被害に遭った女性が「深夜に出歩く方が悪い」などと責められる事案がそれである。  私たちは、自分が住む世界に安定や秩序を期待している。これを「公正世界信念」という。この信念を持つことで心の安定がもたらされ、前向きに生きられる良さがある。その半面、安定や秩序が奪われてしまうかもしれないと思った時の心のぐらつきは大きい。そんなとき「あれは被害者が悪かったのだから自分は大丈夫」と考えることで、不安な気持ちをなんとか押しとどめ、安定や秩序を取り戻そうとすることがある。  被害者への非難が生じる背景には、感染がまだ「不運」な事象であることが関係している。本稿を執筆している4月26日時点で日本国内の感染者は1万3182例。ほんの3カ月前のことを思えば膨大な数だが、総人口からすると0・01%、1万分の1の不運がわが身にふりかかってくるなどと考えたくもない。「そうだ、感染者が悪い」と決めてかかることで、その不安や恐怖から逃れようとするのである。

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