【花粉振り返り2022】 飛散開始が遅れ短期集中型のシーズン 飛散量は北ほど多い傾向
ウェザーニュースで分析した、2022年春の花粉の飛散と花粉症の症状のまとめをお伝えします。 ■ポイント ■ ・飛散量:北日本や北陸で多く、西日本で少ない傾向 ・飛散時期:飛散開始は遅く、短期集中型の傾向に ・花粉症の症状:発症遅め、北日本や北陸でつらい症状が多い傾向
飛散量:北日本や北陸で多く、西日本で少ない傾向
ウェザーニューズ独自の花粉観測機「ポールンロボ」が観測した今春の花粉飛散量は、全国平均で昨年比101%、平年比105%(※)となり、概ね昨年並み、平年並みでした。 地域よって飛散量の偏りが大きいのが特徴で、北日本や北陸では昨年より飛散量が大幅に増加しました。一方で、西日本では昨年の飛散量を下回ったところが多くなりました。関東や東海など東日本太平洋側の飛散量は、昨年・平年と比べて概ね同程度でした。 (※)花粉飛散の平年:2012~2021年の過去10年の平均
飛散時期:飛散開始は遅く、短期集中型の傾向に
花粉の飛散量は、前年夏からの花粉の生成量と飛散時期の天候に左右されると考えられます。花粉の生成量は主に夏の気温や日照時間、年ごとの花粉の増減傾向に影響されます。 昨年夏の北日本や北陸は日照時間、気温ともに平年を上回り、雄花の生長に適した天候でした。北日本や北陸では昨年春の飛散量が平年を下回ったところが多く、その反動で飛散量が大幅に多くなりました。一般的に花粉は晴れて気温が高く、風が強い日に多く飛散します。今年は飛散がピークを迎えた3月から4月にかけて晴れて高温傾向が続いたことも飛散量が増えた要因と考えられます。 一方、西日本では昨年夏の日照時間、気温が平年並みか平年を下回り、雄花の生育にはやや不向きな天候でした。西日本では昨年春の飛散量が平年を上回ったところが多く、その反動で飛散量が昨年より減少しました。今年の2月は強い寒気の影響で低温が続き、花粉の飛散開始・本格飛散が例年より遅くなったことも、飛散量が減少した一因であると考えられます。
今シーズンの花粉飛散の特徴は、2月の寒さの影響で飛散開始が遅くなったことと、3月以降の暖かさによって花粉の飛散が一気に進んだことです。3月以降も高温が続いたため、平年に比べて飛散期間は短くなり、短期間に飛散が集中しました。 北海道を除いてほぼ全国的に飛散開始、本格飛散開始が平年や昨年と比べて遅くなりました。近年は2月に入ると日毎の気温が大きく変動し、気温が高くなった日にスギ花粉の飛散が始まるケースが多くありましたが、今年の2月は強い冬型の気圧配置により上空の寒気が居座ったことや、本州南岸を通過する低気圧の影響を受けて低温が続き、飛散開始が遅くなりました。 2月下旬以降は上空の寒気が去り、暖かくなる日が多くなりました。暖かさによって花粉の飛散が促され、飛散開始地域、本格飛散の地域が一気に拡大しました。3月以降もほぼ全国的に高温傾向が続き、飛散が順調に進んだことによって飛散の終了時期は平年よりも早くなりました。3月以降の高温傾向が低温による飛散開始の遅れを取り戻した形です。このため、花粉の飛散期間は平年や昨年よりも短く、短期間に飛散が集中した形になりました。