高木美帆、2冠達成でも「悔しい気持ちが残る」…男子3冠のストルツから理想の滑りへ学び
スピードスケート・ワールドカップ(W杯)長野大会第2日(23日・エムウェーブ)――女子1000メートルは高木美帆(TOKIOインカラミ)が1分14秒60で制した。前日の1500メートルに続き今季2勝目。山田梨央(直富商事)が9位、佐藤綾乃(ANA)が16位。女子3000メートルは堀川桃香(富士急)が8位、高橋侑花(大東大)が16位だった。男子1000メートルでジョーダン・ストルツ(米)がリンク新記録の1分7秒18をマークし、500メートル、1500メートルと合わせて3冠を達成した。小島良太(エムウェーブ)が日本勢最高の4位。男子5000メートルは一戸誠太郎(ANA)が10位、佐々木翔夢(明大)が16位だった。
「まだうまくスピードに乗り切れていない」
高木の表情が、なかなかさえない。国内開催のW杯初戦で2冠を達成しても、「タイムを出すという点でも、(日本のファンに)かっこいい姿を見せたかった。悔しい気持ちが残る」。長く世界で戦うトップスケーターが追い求めるのは、勝利だけではない。
スタートダッシュは決まった。最初の200メートルを全体トップの17秒85で通過。しかし、「一番加速していきたいフェーズで、まだうまくスピードに乗り切れていない」。その後は狙ったラップタイムを出すことができず、首をかしげた。
満足のいく滑りができなくても、勝てる強さがある。ただ、自分の理想の滑りを追求する戦いは、ライバル選手と競い合う以上に苦しい側面もあるだろう。
今の高木に刺激を与える存在が、男子で個人種目3冠のストルツだ。驚異的な記録をたたき出した1000メートルのレースもリンクの内側で確認し、高木は「私がこういう動きをしたらどうなるんだろう、とアイデアをもらっている」と話す。
「(女子の)外国人勢もここから絶対上がってくる。さらにギアを上げていきたい」。W杯を転戦しながら、思い描く滑りを形にしていきたい。(井上雄太)