「今日は帽子パーティよ!」、口癖は「ファンタスティス!」人を喜ばせる天才だったリサ・ラーソンの素顔
北欧を代表する陶芸家ながらも、その素顔はとてもチャーミングで、人を喜ばせるエンターティナーだったリサ・ラーソン。短期集中連載の第4回は、リサと公私にわたり親交が深かった「トンカチ」の佐々木美香さんと勝木悠香理さんに、リサの素顔を聞いた。 【画像】「今日は帽子パーティ!」とリサが宣言。それぞれお気に入りの帽子を選んでティータイムを楽しむ。 ≫【連載をはじめから読む】すべては一通の手紙から始まった――北欧を代表する陶芸家リサ・ラーソンが日本で愛された17年
素顔のリサは“チャーミングでおもてなし好きのおばあちゃん”
リサ・ラーソンとはビジネスパートナーでありながらも、おばあちゃんと孫のような関係値を築いてきた、トンカチの佐々木美香さんと勝木悠香理さん。共にものづくりをするようになった2007年から、年に1度はスウェーデンを訪れ、リサやその家族と親交を深めた。 「スウェーデンに行くときはいつも1週間前後滞在して、リサの自宅で毎日ミーティングをしていました。北欧にはフィーカというティータイムの文化があって、リサもよく“あら、もう3時だわ! ”といって、お菓子と一緒に紅茶やコーヒーを用意してもてなしてくれましたね。リサはお酒も好きで、ワインやシャンパンも出してくれて、打ち合わせが終わってもみんなで楽しく飲んでいる時間が幸せでした」(佐々木さん) リサはとにかく気遣いの人で、”常に人を喜ばせることを考えていたエンターティナー”だったそう。
夫婦の絆に触れ、夢の時間を過ごしたサマーハウスの思い出
「プライベートのリサは、”おもしろくてチャーミングなおばあちゃん”という印象でした。リサと会うときは小さなサプライズが必ずあって、あるときは、マイキーの手ぬぐいを頭に巻いて待っていたり、またあるときは、私たちが泊まるホテルの部屋にリサが摘んだ花とメッセージが届けられていて……。思い返せば、かしこまった挨拶をしたのは最初ぐらいで、いつもつかみでくすっと笑わせてくれて、心をほぐしてくれました」(勝木さん) おしゃれが好きで、青が好きで、猫が好きだったリサ。よく耳にする口癖さえも、まわりの人を明るい気持ちにするものだった。 「リサはよく”ファンタスティス”という言葉を使っていました。スウェーデン語で”すごい”という意味なのですが、その言い方もとてもかわいらしくて、私たちも大好きな言葉になりました」(佐々木さん) リサを語る上で欠かせないのが、画家である夫・グンナルの存在。1952年に学生結婚してから2020年に先立たれるまで共に生活し、公私ともに最高のパートナーであり続けた。ふたりが30代の頃には、スウェーデン南端のスコーネ地方にサマーハウスを持ち、毎年夏になると2か月近くそこでのんびりと過ごしていたリサとグンナル。佐々木さんと勝木さんも、リサと知り合って2年目の夏には招かれるまでに打ち解けた。 「サマーハウスにはグンナルが建てたリサのアトリエもあって、夫婦の思い出が詰まった場所という感じでした。当時リサの生活を知りたかった私は、サマーハウスで過ごす様子を写真に撮らせてほしいとお願いして、次の年に1週間寝泊まりさせてもらうことに。ふたりがお昼寝している間、私はリサのアトリエで過ごしたり、私の姿が見えないとリサが鈴を鳴らして呼びに来て……。すべてが夢のようでした」(佐々木さん)