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31年目の「WWDC」は成功だったのか? オンライン開催で見えたAppleの新たな課題

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Appleはなぜ開発者向けのイベントが必要なのか

世界にいる開発者向けに情報を発信するだけなら、リアルなイベントよりオンラインのほうが参加者を増やせるし、コストも抑えられる。非公開情報もクローズ形式で公開すればいいだけだ。 だが、開発者向けイベントには情報発信だけでなく、コミュニティを育ててファンを増やすというもう一つの大きな目的がある。IT製品は魅力的なハードウェアやOSを開発しても、そこで動く魅力的なアプリやソフトウェアが無ければ売れないからだ。有名ゲストが参加するパーティーイベントや本社ツアー、社内ストアでのショッピングタイムも開発者会議のプログラムでは重要な要素なのだ。 現在はWWDC以外にも多くのIT企業が開発者向けイベントを開催している。メジャーなところではMicrosoft Build、Google I/O、Facebook Developer Conference F8、AWS Summit(Amazon)などがあり、AdobeやSalesforce、GitHubといったサービスも自社のファンを増やすために開発パートナーやユーザー向けにイベントを開催している。 しかし、こうしたリアルならではの集まりを楽しむイベントはコロナ禍で大きく変化しようとしている。Microsoft Buildは5月19,20日にオンラインで開催されたが、GoogleとFacebookは今年の開催そのものを断念した。日本マイクロソフトが開催する「de:code」は5月27,28日に予定していたプログラムをオンラインに切り替え、6月17日から7月17日まで開催期間を大幅に延長して無料で公開(登録が必要)している。

オンライン開催で見えたAppleの課題

WWDCは参加者が制限されるため今回のようにオンラインに切り替えてもあまり違和感が無いと思っていたが、実際には違った。 無観客ライブ形式ではなく、あらかじめ完成された動画を公開するスタイルにしたせいか、まるで商品広告を見せられているようでいつものワクワク感がほとんど感じられなかったのだ。それは著者が以前のスタイルを見慣れているせいもあるかもしれないが、お笑いならともかく製品発表で来場者の拍手や笑いが無いことが、これほど発表内容の魅力を減らしてしまうのかと驚いたほどだ。 一方で、オンライン開催でもできるだけリアル感を出そうとしていたのが日本マイクロソフト「de:code」だ。視聴したいセッションを選ぶと2Dと3Dが選べるようになっていて、3Dを選ぶとさらに複数あるアバターをチョイスしてバーチャル会場の正面に浮かんでいる画面でセッションを見られるようにしている。他の参加者のアバターも見えるが、バーチャルSNSのクラスターのように会話することはできない。セッションの動画は自宅かオフィスで撮影されたものなので、リモート会議かウェビナーに参加しているような印象がある。 リモート会議やウェビナーが当たり前になったいまでは、de:codeの配信スタイルは多くの人たちにとって違和感が無く、これから標準化するかもしれない。さらに新しいバーチャルイベントの運営方法も登場するだろうが、VRやARを使うようになるのはもう少し先のことだろう。そして、美しく完成度の高い動画を配信するスタイルを選択したAppleが、今後も同様の方法を選ぶのか。9月に開催されるであろう新しいiPhoneをはじめとするメディア向け発表会がどうするのか、いまから気になるところだ。

文:野々下裕子

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