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「水」=<コモン>の管理から考える持続可能な社会をつくる方法とは? 斎藤幸平×岸本聡子<対談>【後編】

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斎藤 裏を返せば、立ち上がらなければ、どんどん資本主義に好き勝手にやられてしまうということですよね。 ■市民の声を政策化するには 斎藤 もう一つ岸本さんに聞きたいのは、シンクタンクについてです。岸本さんはアムステルダムを本拠地とする政策シンクタンクNGO「トランスナショナル研究所」に属していますよね。欧米の社会運動ではシンクタンクが果たす役割が大きいと思います。 岸本 欧米にはスタッフが40人も50人も働いているようなシンクタンクがたくさんあります。他方、日本でシンクタンクと言うと、「なんとか総研」のような銀行系のシンクタンクばかりで、社会運動や労働者のためのシンクタンクは見当たりません。なぜ銀行系のシンクタンクしかないのか本当に不思議です。 もっとも、シンクタンクはなにか物を売って活動しているわけではないため、収入がありません。財源は個人や企業の寄付、政府からの資金提供です。率直に言って、政府の資金がなければ活動を続けることはできません。しかし、いまはどこの国も右派が政権を握っており、政府に批判的なシンクタンクは圧力をかけられています。 長期的には、国家に頼らない市民の手によるシンクタンクに育てていくことも大事だと思っています。 斎藤 私は去年アメリカのバーニー・サンダースによる「グリーン・ニューディール」についての分厚いマニフェストを読んで本当に衝撃を受けました。というのも、「グリーン・ニューディール」で一般的に言われる、再生可能エネルギーへの大型投資と雇用創出だけでなく、労働組合の重要性、アグロエコロジー(有機栽培や伝統的方法に基づく小規模の農業経営)への転換、電力会社の協同組合化、軍縮など、様々な分野の政策が詳細に記されていたからです。 当然ですが、このマニフェストは1人や2人で書けるものではありません。サンダースの後ろにはシンクタンクをはじめ多くの学者や専門家がついており、それをまとめ上げるチームが存在しているのだと思います。 日本ではしばしば「政府の政策を批判するなら対案を出せ」と言われますが、普通の市民は政府の政策が嫌だと思っても、専門家ではないから、詳細な対案まで出すことはできません。 しかし、対案を出さなければ反対してはならないとなると、社会運動は広がりません。こういうときにシンクタンクが具体的な政策を作って、サポートしてくれれば、市民も反対の声をあげやすいですし、運動も広がりやすくなると思うんですよね。

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