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パソコンやスマホなどでコミュニケーションをとることが、フレイル予防になる【今日からできるフレイル対策】

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サライ.jp

新型コロナウィルスの感染拡大防止のために、外出自粛を意識する生活が始まってから、4か月。感染は拡大し続けており、外出自粛が解除されていてもためらう人は多い。基本的に家で過ごすことが主になる「新しい生活様式」下において、シニア層が身体機能を維持するために何に気をつければよいか、「フレイル・サルコペニア予防」の専門家である、東京女子医科大学病院リハビリテーション科教授・診療部長の若林秀隆先生に伺った。今回は、家庭でできるフレイル予防を、生活を中心に紹介していく。 ※フレイル……2014年に日本老年医学会が提唱した「Frailty(虚弱)」の日本語訳。健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことを指す。 ※サルコペニア……筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下している状態を指す。

コロナ禍でフレイル予備軍が増える

長期にわたる外出自粛が解除されたとはいえ、これまでのような生活が戻ったわけではない。これまでアクティブだった人ほど、一時的にせよ生きがいが見いだせなくなってしまったという。 「自宅を400万円かけて料理教室用にリフォームしたのに、コロナ禍になって投資が無駄に。これまで頑張ってきただけに、何をする気も起きません」(63歳・女性) 「趣味の登山ができなくなり、散歩をしているだけで悪いことをしているような気がすることに、堪えています。一人暮らしなので、自分が感染するのも怖い。趣味の仲間は個人的に連絡するほどの関係ではなく、孤独を感じています」(70歳・男性) 「決まっていた再就職の話がなくなり、誰とも連絡せず家でボーッとテレビを見ています。悪いニュースばかりやっていて、気が滅入ることも。もともと出不精だから、仕事でもないと外に出ないんです」(65歳・女性) シニア世代に、コロナ禍中の生活を聞き、以前に比べて元気がなくなったと答えた人の共通点は「気軽に連絡ができる話し相手がいない」ことだった。 人とのコミュニケーションの機会が激減することで、「フレイル・サルコペニア」の悪化につながると、若林秀隆先生は指摘する。 「フレイル・サルコペニアを語るうえで、身体面、精神心理面、社会面と3つの観点からお話しするのですが、外出自粛生活は、この3つの観点からも、悪い影響があることが考えられるのです」(若林先生) コロナ禍での大きな問題は、外出の機会が激減するだけでなく、対面で人と会いにくくなったことだ。 「体を使う機会が少なくなり、さらに人と会話をしなくなるわけですから、フレイル・サルコペニアのリスクが高まります」(若林先生) 人と会話することは、フレイル・サルコペニアの予防に有効なのだ。人と会う場に足を運ぶことは運動になり、身体面のリスクが減る。洋服選びなど、身なりを整えることは頭を使う。会話には、緊張感とリラックスを持ちながら、頭をフル回転し、体を使う。 「精神心理面と、社会面はつながっており、社会的フレイルとは“社会活動への参加や社会的交流に対する脆弱性が増加している状態”です。具体的には、“外出頻度が 1 日 1 回未満の閉じこもり傾向” や、“同居している家族以外との交流が週 1 回未満”である状態などが目安です」 「新しい生活様式」は、社会的フレイルを深刻化させる状態を推奨しているともいえる。対策はどうすればいいのだろうか。 「まず、精神心理面の対策についてですが、シニア層はPCやスマホでビデオ通話をすることなどを“できない”と思い込んでいる人が少なくありません。まずは、スマホ、タブレット、PCなどのデジタル機器を1つだけでよいので取り入れて、使ってみてはいかがでしょうか。それも厳しいという方は、電話や手紙で近況を連絡してもよいです。人とコミュニケーションをとることは、精神心理面によい作用をもたらします。まずは遠隔でのコミュニケーションを提案するのは、感染の不安から、精神心理的なフレイルが進行するケースがあるからです」(若林先生) 多くのデイケアやリハビリ施設が閉鎖され、コロナ禍で社会的フレイルも進行している。 「家族以外の人と話さない高齢者の方が増えました。今まで、リハビリとデイケアで、なんとか機能を維持していた人が、できなくなって寝たきりや寝たきり予備軍になってしまったことも。今年の1月には外で30分歩けていた人が、今では5分しか歩けなくなってしまった方もいます。もともとの体力が少ない人ほど、深刻です」(若林先生) 外出自粛で、コロナ禍における「フレイル・サルコペニア」は進行している。なぜなら、人と接することは、身体面・精神心理面・社会面が絡み合っているからだ。人生百年をいい状態で生きるために、まずは思い浮かんだ人に、電話や手紙などで連絡してみてはどうだろうか。頭と手を使うことから、新しい生活様式で機能を維持するヒントが見つかるかもしれない。 【次回】家庭でできるフレイル予防~食生活編~に続きます。 お話を伺ったのは…… 若林秀隆先生 東京女子医科大学病院 リハビリテーション科 教授・日本リハビリテーション栄養学会理事長 横浜市立大学医学部、東京慈恵会医科大学大学院医学研究科臨床疫学研究部卒業。リハビリテーション栄養、サルコペニア、サルコペニアの摂食嚥下障害が専門。著書に『イラストで学ぶ 高齢者リハビリテーション栄養』(講談社)などがある。

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