“高齢者の孤立”を解決するために…「一般社団法人えんがお」に人が集まってくる理由とは?
放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」。7月17日(日)の放送では、「一般社団法人えんがお」代表の濱野将行(はまの・まさゆき)さんをゲストに迎えて、お届けしました。
濱野さんは、栃木県大田原市の隣町・矢板市の出身。国際医療福祉大学の大田原キャンパスで作業療法を学び、2017年5月に「一般社団法人えんがお」を設立して以降、大田原市で“高齢者の孤立”という社会問題の解決に日々取り組んでいます。 えんがおというネーミングについては、“縁側”と“笑顔”をかけており、“顔の見える縁の関係”といった意味合いも含んでいるのだとか。そんなえんがおについて、「施設ではなく、プロジェクトごとにいくつかの建物を持っている感じ」と言います。 現在、徒歩2分圏内で6軒の空き家を活用しており、「メインは高齢者の孤立の予防と解消を進めているんですけど、おじいちゃん・おばあちゃんが何かしらの役割を持てるといいなと思っています。そのために、高齢者だけではなくて、おじいちゃん・おばあちゃんが集まる施設の目の前にみんなでご飯を食べられる地域食堂があったり、その奥には若者のシェアハウスがあったり、シェアハウスの隣には、精神・知的障がいを抱えた人のグループホームがあったり……というふうに、近隣で子どもから高齢者まで、障がいがある方も含めたいろいろな人が関われるコミュニティづくりをおこなっています」と説明。 子どもたちや学生、大人からお年寄り、障がいを抱えている人もふらっと立ち寄れるような環境づくりを心がけていると言い、「目の前にいる人が何を求めているのかというところで、例えば学生が勉強する場所がなくてファミレスで勉強しているというようなことがあれば、おじいちゃん・おばあちゃんが集まる場所の2階に学生の勉強スペースを用意して学生が来るようにする。その2つの動線が重なるような仕組みづくりをおこなうことで、“自然と学生とお年寄りの方々が関わってくれたらいいな”という感じですね」と語ります。 そうした取り組みに、小山は「最初は関わりたくて行くんじゃなくて、自分にとって必要な場所だから行く。そうすると、そこに世代の違う人がいたり、環境の違う人がいたりして、次第に仲良くなってつながっていくんですね」と感心しきり。 社会課題を解決することを目的とした、いわゆる「ソーシャルビジネス」として注力して5年。濱野さんは「お金にならないこともたくさんあるんですけど、最低でも赤字にはしない。お金になるように努力していくところで、私たちの給料がしっかりもらえて運営できるようなところを目指しています。ちょっとずつ今、そうなってきているところですね」と実感を語ります。 ボランティアや社会貢献というと、無償で提供するものと思われがちですが「それをやってしまうと何回も来れないんですよね。例えば、コーヒー屋さんで、『毎日タダで飲めます』って言われると、逆に行きづらくなる」と濱野さん。 そのため、「おじいちゃん・おばあちゃんからも、ちゃんと100円をいただいていますし、その100円あるかないかが大きいんです。大学生も勉強するときには、1日200円をもらっています。年間延べ4,000人ぐらい来てくれているので、家賃と水道・光熱費はそれだけでペイできます。そのほかいくつかの事業も手掛けていますが、収益性が取れそうな部分に関しては、しっかり収益を得て運営をするように努力している」と言います。